○国立大学法人大阪大学における障がいを理由とする差別の解消の推進に関する規程
(趣旨)
第1条 この規程は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)第9条第1項の規定に基づき、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針に即して、国立大学法人大阪大学(以下「本法人」という。)の教職員が適切に対応するために必要な事項を定めるものとする。
(1) 障がい者 身体障がい、知的障がい、精神障がい(発達障がい及び高次脳機能障がいを含む。)その他の心身の機能の障がい(難病等に起因する障がいを含む。以下「障がい」と総称する。)がある者であって、障がい及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものとし、大阪大学(以下「本学」という。)における教育及び研究その他本法人が行う活動全般において、そこに参加するものすべてとする。
(2) 社会的障壁 障がいがある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。
(3) 部局 本部事務機構のチーム及び各課室、各研究科、各学部、附属図書館、各附属病院、各附置研究所、各学内共同教育研究施設、各全国共同利用施設その他これらに相当する組織をいう。
(障がいを理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方)
第3条 この規程において、不当な差別的取扱いとは、障がい者に対して、正当な理由なく、障がいを理由として、本学における教育及び研究その他本法人が行う活動全般について機会の提供を拒否すること、提供に当たって場所、時間帯等を制限すること、又は障がい者でない者に対しては付さない条件を付けること等により、障がい者の権利利益を侵害することをいう。この場合において、車椅子、補助犬その他の支援機器等の利用、介助者の付添い等の社会的障壁を解消するための手段の利用等を理由として行われる不当な差別的取扱いもこれに該当するものとし、障がい者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別な措置については、この限りではない。
2 前項の正当な理由に相当するか否かについては、単に一般的又は抽象的な理由に基づいて判断するのではなく、個別の事案ごとに、障がい者、本法人、第三者の権利利益及び本学の教育及び研究その他本法人が行う活動の目的、内容、機能の維持等の観点に鑑み、具体的な状況等に応じて総合的かつ客観的に検討を行い判断するものとし、教職員は、正当な理由があると判断した場合には、障がい者にその理由を丁寧に説明し、理解を得るよう努めなければならない。この場合においては、教職員と障がい者の双方が互いに相手の立場を尊重しながら相互理解を図るよう留意するものとする。
3 この規程において、合理的配慮とは、障がい者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過重な負担を課さないものをいう。
(1) 本学における教育及び研究その他本法人が行う活動への影響の程度(その目的、内容、機能等を損なうか否か)
(2) 実現可能性の程度(物理的制約、技術的制約、人的制約、体制上の制約等)
(3) 費用及び負担の程度
(4) 本法人の規模、財務状況等
(障がい者差別解消に関する推進体制)
第4条 本法人における障がいを理由とする差別の解消(以下「障がい者差別解消」という。)の推進に関する体制は、次の各号のとおりとする。
(1) 最高管理責任者 総長をもって充て、障がい者差別解消の推進及びそのための環境整備等(施設等のバリアフリー化の促進、必要な人材の配置、障がいのある入学希望者及び学内の障がいのある学生等に対する受入れ姿勢及び方針の明示、情報アクセシビリティの向上等)に関し、本法人全体を統括し、総括監督責任者及び監督責任者が適切に障がい者差別解消の推進を行うようリーダーシップを発揮するとともに、最終責任を負うものとする。
(2) 総括監督責任者 総長が指名する理事をもって充て、最高管理責任者を補佐するとともに、教職員に対する研修及び啓発の実施等、本法人全体における障がい者差別解消の推進に関し必要な措置を講ずるものとする。
(3) 監督責任者 部局長をもって充て、当該部局における障がい者差別解消の推進に関し責任を有するとともに、当該部局における障がい者差別解消の推進に必要な措置を講ずるものとし、次条に規定する責務を果たすものとする。
(監督責任者の責務)
第5条 監督責任者は、障がい者差別解消の推進のため、次の各号に掲げる事項に注意して障がい者に対する不当な差別的取扱いが行われないよう監督し、また、障がい者に対して合理的配慮の提供がなされるよう努めなければならない。
(1) 日常の業務を通じた指導等により、障がい者差別解消に関し、監督する教職員の注意を喚起し、障がい者差別解消に関する認識を深めさせること。
(2) 障がい者から不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供に対する相談、苦情の申し出等があった場合は、迅速に状況を確認すること。
(3) 合理的配慮の必要性が確認された場合、監督する教職員に対して、合理的配慮の提供を適切に行うよう指導すること。
2 監督責任者は、障がいを理由とする差別に関する問題が生じた場合には、総括監督責任者に報告するとともに、その指示に従い、迅速かつ適切に対処しなければならない。
3 監督責任者は、必要に応じて当該部局に障がい者に対する合理的配慮の提供を支援する教職員を置くことができる。
(不当な差別的取扱いの禁止)
第6条 教職員は、本学における教育及び研究その他本法人の事業を行うに当たり、障がいを理由として障がい者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障がい者の権利利益を侵害してはならない。
2 前項の不当な差別的取扱いに関する例は、別紙1のとおりとする。
(合理的配慮の提供)
第7条 教職員は、本学における教育及び研究その他本法人の事業を行うに当たり、障がい者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障がい者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障がい者の性別、年齢及び障がいの状況に応じて、社会的障壁の除去の実施について合理的配慮を提供しなければならない。この場合においては、次の各号に掲げる事項に留意するものとする。
(1) 障がいのある女性及び障がいのある性的マイノリティに対しては、障がいに加えて女性又は性的マイノリティであることも踏まえた対応が必要であること。
(2) 多数の障がい者が直面し得る社会的障壁をあらかじめ除去するという観点から、他の障がい者等への波及効果についても考慮した環境の整備の実施が望ましいこと。
2 前項の意思の表明は、言語(手話を含む。)のほか、点字、筆談、身振りサイン等による合図など障がい者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段により伝えられること及び障がいの特性等により本人の意思表明が困難な場合には、障がい者の家族、介助者等のコミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含むことに留意するとともに、意思の表明がない場合であっても、当該障がい者がその除去を必要としていることが明白である場合には、当該障がい者に対して適切と思われる合理的配慮を提案するよう努めなければならない。
3 前2項の合理的配慮に関する例は、別紙2のとおりとする。
(相談体制の整備)
第8条 監督責任者は、必要に応じて障がい者及びその家族その他の関係者(以下この条において「障がい者等」という。)からの障がいを理由とする差別に関する相談に的確に応じるための相談窓口を置くものとする。
2 障がい者等からの相談内容に応じた相談先の紹介等を行うため、本法人に、総合案内窓口を置く。
(紛争の防止等のための体制の整備)
第9条 障がいを理由とする差別に関する紛争の防止又は解決を図るための委員会は、人権問題委員会とする。
(教職員への啓発活動)
第10条 本法人は、障がい者差別解消の推進を図るため、教職員に対し、研修、講演会等様々な方法により、啓発活動を行うものとする。
(懲戒処分等)
第11条 教職員が、障がい者に対して不当な差別的取扱いをし、又は過重な負担がないにもかかわらず合理的配慮を提供しなかった場合、その態様等によっては、国立大学法人大阪大学教職員就業規則等の規定に則り懲戒処分等を行うことがある。
(雑則)
第12条 この規程に定めるもののほか、本法人における障がい者差別解消の推進に関し必要な事項は、別に定める。
附則
この規程は、平成28年4月1日から施行する。
附則
この改正は、令和元年8月26日から施行する。
附則
この改正は、令和6年4月1日から施行する。
別紙1 不当な差別的取扱いに関する例(第6条関係)
第3条第1項及び第2項のとおり、不当な差別的取扱いに相当するか否かについては、個別の事案ごとに判断されることとなるが、正当な理由がなく、不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例及び正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例は、次のとおりとする。なお、次に掲げる内容はあくまでも例示であり、これらの例だけに限られるものではないこと、正当な理由があり、不当な差別的取扱いに該当しない場合であっても、合理的配慮の提供を求められる場合にはその都度検討が必要であることに留意するものとする。
(正当な理由がなく、不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例)
1.障がいがあることを理由に受験を拒否すること。
2.障がいがあることを理由に入学を拒否すること。
3.障がいがあることを理由に授業受講を拒否すること。
4.障がいがあることを理由に研究指導を拒否すること。
5.障がいがあることを理由に実習、研修、フィールドワーク等への参加を拒否すること。
6.障がいがあることを理由に事務窓口等での対応順序を劣後させること。
7.障がいがあることを理由に式典、行事、説明会、シンポジウム等への出席を拒否すること。
8.障がいがあることを理由に学生寮への入居を拒否すること。
9.障がいがあることを理由に施設等の利用又はサービスの提供を拒否すること。
10.手話通訳、ノートテイク、パソコンノートテイク等の情報保障手段を用意出来ないからという理由で、障がいのある学生等の授業受講及び研修、講習、実習等への参加を拒否すること。
11.試験等において、合理的配慮を受けたことを理由に評価に差をつけること。
12.障がいの種類又は程度、サービス提供の場面における本人又は第三者の安全性などについて考慮することなく、一律にあるいは漠然とした安全上の問題を理由に施設利用を拒否又は制限すること。
(正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例)
1.実習において、アレルゲンとなる材料を使用するなど、実習に必要な作業の遂行上具体的な危険の発生が見込まれる障がい者に対し、アレルゲンとならない材料に代替し、別の部屋で実習を設定すること。
別紙2 合理的配慮に関する例(第7条関係)
A.合理的配慮
合理的配慮は、不特定多数の障がい者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化、必要な人材の配置、情報アクセシビリティの向上等の環境の整備を基礎として、個々の障がい者に対して、その状況に応じて個別に実施される措置とする。その内容は、第3条第3項及び第4項のとおり、障がいの特性、社会的障壁の除去が求められる具体的状況等に応じて異なり、多様かつ個別性が高いものであり、当該障がい者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応する必要があるが、例としては、次のとおりとする。なお、これらの例は、あくまでも例示であり、ここに記載する例以外であっても合理的配慮に該当するものがあること、また個別の事案ごとに判断することが必要であることに留意するものとする。
(合理的配慮に当たり得る物理的環境への配慮の例)
1.車椅子利用者のためにキャスター上げ等の補助をし、又は段差に携帯スロープを渡すこと。
2.講義室、図書館、コンピュータ室、実験室、実習室等の施設及び設備を、他の学生等と同様に利用できるように改善すること。
3.移動に困難のある学生等のために、普段よく利用する教室に近い位置に駐車場を確保すること。
4.配架棚の高い所に置かれた図書、パンフレット等を取って渡したり、図書、パンフレット等の位置を分かりやすく伝えたりすること。
5.障がい特性により、授業中、頻回に離席の必要がある学生等について、座席位置を出入口の付近に確保すること。
6.移動に困難のある学生等が参加している授業で、使用する教室をアクセスしやすい場所に変更すること。
7.易疲労性のある障がい者からの別室での休憩の申し出に対し、休憩室の確保に努めるとともに、休憩室の確保が困難な場合、教室内に長いすを置いて臨時の休憩スペースを設けること。
8.弱視あるいは難聴などの理由で、座席の配置に希望のある場合に対応すること。
9.視覚障がい者からトイレの個室を案内するよう求めがあった場合に、求めに応じてトイレの個室を案内すること、その際、同性の教職員がいる場合は、障がい者本人の希望に応じて同性の職員が対応すること。
(合理的配慮に当たり得る意思疎通の配慮の例)
1.授業、実習、研修、行事等のさまざまな機会において、手話通訳、ノートテイク、パソコンノートテイク、補聴システム等の情報保障を行うこと。
2.ことばの聞き取り、理解、発声、発語等に困難を示す学生等のために、必要なコミュニケーション上の配慮を行うこと。
3.シラバス、教科書、教材等の印刷物にアクセスできるよう、学生等の要望に応じて電子ファイル、点字、拡大資料等を提供すること。
4.聞き取りに困難のある学生等が受講している授業で、ビデオ等の視聴覚教材に字幕を付与して用いること。
5.授業中教員が使用する資料を事前に提供し、事前に一読したり、読みやすい形式に変換したりする時間を与えること。
6.事務手続きの際に、教職員又は支援学生が必要書類の代筆を行うこと。
7.障がいのある学生等で、視覚情報が優位な者に対し、授業内での指示、事務手続き及び申請の手順を文字、イラスト等で視覚的に明示し、わかりやすく伝えること。
8.間接的又は抽象的な表現が伝わりにくい場合に、より直接的又は論理的な表現を使って説明すること。
9.授業中のディスカッションに参加しにくい場合に、発言しやすいような配慮をしたり、テキストベースでの意見表明を認めたりすること。
10.入学試験又は定期試験において、注意事項又は指示を、口頭で伝えるだけでなく文書又は黒板に書いて示すなど、視覚的な情報として伝達すること。
(ルール又は慣行の柔軟な変更の例)
1.入学試験又は定期試験において、個々の学生等の障がい特性に応じて、試験時間の延長、別室受験、支援機器の利用、点字及び拡大文字の使用、休憩時間の調整等を認めたりすること。
2.成績評価において、本来の教育目標と照らし合わせ、公平性を損なわない範囲で柔軟な評価方法を検討すること。
3.外部の人々の立ち入りを禁止している施設等において、介助者等の立ち入りを認めること。
4.大学行事、講演、講習、研修等において、適宜休憩を取ることを認めたり、休憩時間を延長したりすること。
5.移動に困難のある学生等に配慮し、車両乗降場所を教室の出入り口に近い場所へ変更すること。
6.教育実習等の学外実習において、合理的配慮の提供が可能な機関での実習を認めること。
7.教育実習、病棟実習等の実習授業において、事前に実習施設の見学を行うこと又は通常よりも詳しいマニュアルを提供すること。
8.外国語のリスニングが難しい学生等について、リスニングが必須となる授業を他の形態の授業に代替すること。
9.実験、実習等において、障がいの特性により指示の伝達、作業の補助等が必要となる場合に、特別にティーチング・アシスタント等を配置すること。
10.ICレコーダー等を用いた授業の録音を認めること。
11.授業中、ノートを取ることが難しい学生等に、板書を写真撮影することを認めること。
12.不随意運動等により特定の作業が難しい障がい者に対し、教職員又は支援学生を配置して作業の補助を行うこと。
13.感覚過敏等がある学生等に、サングラス、イヤーマフ、ノイズキャンセリングヘッドフォン等の着用を認めること。
14.体調が悪くなるなどして、レポート等の提出期限に間に合わない可能性が高いときに、期限の延長を認めること。
15.教室内で、講師及び板書、スクリーン等に近い席を確保すること。
16.履修登録の際、履修制限のかかる可能性のある選択科目において、機能障がいによる制約を受けにくい授業を確実に履修できるようにすること。
17.入学時のガイダンス等が集中する時期に、必要書類及びスケジュールの確認等を個別に行うこと。
18.病気療養等で学習空白が生じる学生等に対して、ICTを活用した学習活動、補講を行うなど、学習機会を確保できる方法を工夫すること。
19.授業出席に介助者が必要な場合には、介助者が授業の受講生でなくとも入室を認めること。
20.視覚障がい又は肢体不自由のある学生等の求めに応じて、事務窓口での同行の介助者の代筆による手続きを認めること。
B.合理的配慮の提供義務違反
合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例及び該当しないと考えられる例としては、次のとおりとするが、記載されている内容はあくまでも例示であり、合理的配慮の提供義務違反に該当するか否かについては、個別の事案ごとの判断が必要であることに留意するものとする。
(合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例)
1.入学試験、定期試験等において、筆記が困難なためデジタル機器の使用を求める申出があった場合に、デジタル機器の持込みを認めた前例がないことを理由に、必要な調整を行うことなく一律に対応を断ること。
2.自由席で開講している授業において、弱視の学生等からスクリーン、板書等がよく見える席での受講を希望する申出があった場合に、事前の座席確保などの対応を検討せず、一律に「特別扱いはできない」という理由で対応を断ること。
3.視覚障がい者が、点字ブロックの無いイベント会場内の移動に必要な支援を求める場合に、「何かあったら困る」という抽象的な理由で具体的な支援の可能性を検討せず、参加又は支援を断ること。
4.学生等が、支援者と共に更衣室を利用することを希望した場合に、空いている教室など代替施設を検討することなく、設備がないという理由で対応を断ること。
(合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる例)
1.オンライン授業の配信のみを行っている場合に、オンラインでの集団受講では内容の理解が難しいことを理由に対面での個別指導を求められた際、字幕、音声文字変換システムの利用など代替措置を検討したうえで、対面での個別指導を可能とする人的体制又は設備を有していないことを理由に、当該対応を断ること。(事務及び事業の目的、内容並びに機能の本質的な変更には及ばないことの観点)
2.オンライン授業に変更することで、授業の目的・内容・機能を損ねると判断できる授業において、オンライン授業への変更以外の配慮を検討すること。(事務及び事業の目的、内容並びに機能の本質的な変更には及ばないことの観点)
3.図書館等において、混雑時に視覚障がい者から教職員に対し、館内を付き添って利用の補助を求められた場合に、混雑時のため付添いはできないが、教職員が聞き取った書籍等を準備することができる旨を提案すること。(過重な負担(人的及び体制上の制約)の観点)
4.発達障がい等の特性のある学生から、得意科目で習得した単位を不得意な科目の単位として認定してほしいと要望された場合、不得意科目における環境調整又は受講方法の調整などの支援策を提示しつつ、卒業要件を変更しての単位認定は、本学のディプロマ・ポリシーに照らし、教育の目的、内容及び機能の本質的な変更にあたることから、当該対応を断ること。(事務及び事業の目的、内容並びに機能の本質的な変更には及ばないことの観点)
C.合理的配慮の提供と環境の整備の関係
環境の整備は、不特定多数の障がい者向けに事前的改善措置を行うものであるが、合理的配慮は、環境の整備を基礎として、その実施に伴う負担が過重でない場合に、特定の障がい者に対して個別の状況に応じて講じられる措置であり、その内容は、各場面における環境の整備の状況により異なることとなる。合理的配慮の提供と環境の整備の関係に係る例は、次のとおりとする。
(合理的配慮の提供と環境の整備の関係に係る例)
1.障がい者差別解消の推進を図るための教職員への学内研修を実施(環境の整備)するとともに、教職員が学生一人一人の障がいの状態等に応じた配慮を行うこと(合理的配慮)
2.エレベーターの設置等学内施設のバリアフリー化を進める(環境の整備)とともに、肢体不自由のある学生等が、実験室等で実験実施の補助を必要とした際に、その補助を行うティーチング・アシスタント等を提供すること(合理的配慮)
3.障がい者から申込書類への代筆を求められた場合に円滑に対応できるよう、あらかじめ申込手続における適切な代筆の仕方について研修を行う(環境の整備)とともに、障がい者から代筆を求められた場合には、研修内容を踏まえ、本人の意向を確認しながら担当者が代筆すること(合理的配慮)
4.オンラインでの申込手続きが必要な場合に、手続きを行うためのウェブサイトが障がい者にとって利用しづらいものとなっていることから、手続きに際しての支援を求める申出があった場合に、求めに応じて電話又は電子メールでの対応を行う(合理的配慮)とともに、以後、障がい者がオンライン申込みの際に不便を感じることのないよう、ウェブサイトの改良を行うこと(環境の整備)
5.講演会等で、情報保障の観点から、手話通訳者を配置したり、スクリーンへ文字情報を提示したりする(環境の整備)とともに、申し出があった際に、手話通訳者及び文字情報が見えやすい位置に座席を設定すること(合理的配慮)