2.利益相反による問題が生じる事例

事例として以下のようなものが考えられます。

事例1 兼業と責務相反

A大学のB教授は、C社で技術指導を目的とした有償の兼業を行っている。C社の依頼に応じ、毎週水曜日の午後に兼業をすることにして、A大学から兼業許可を受けていたが、次第に兼業の曜日を変更することがしばしば起こるようになった。その際、B教授は、兼業を優先させ、講義の休講、教授会や委員会を欠席するようになった。


事例2 研究室をインキュベータとして使用している例

D大学のE教授は、自身の研究成果をもとに、登記上の本社を大学の所在地にして、研究成果活用型ベンチャー企業F社を設立した。E教授は兼業許可を受け、F社の取締役に就任しその業務に従事することになった。
E教授は、インキュベータとして利用しやすいとして、D大学の自身の研究室をF社の事業活動に使うようになった。商品の受注等の電話は、E教授の研究室にかかって来るようになり、E教授不在の場合、研究室の学生が対応している。科学研究費補助金で購入し、研究室に設置してある装置についても、F社が使うことが多くなっていた。


事例3 ベンチャー企業と研究成果の実用化のための共同研究

G大学のH教授は、自身の研究成果をもとにベンチャー企業I社を設立し、兼業許可を受け、社長に就任した。I社は、G大学に対し、H教授を指名して共同研究を申込み、G大学のラボで共同研究を開始した。I社の研究員はH教授しかおらず、共同研究におけるI社側の研究代表者もH教授が務めることとされている。このため、H教授がG大学とI社のどちらの立場で研究を行っているのか判断がつかない状態に陥っていた。


事例4 リエゾン担当者によるベンチャー支援と利益相反

J大学のK教授は、自身の研究成果をもとにベンチャー企業を創業することを考え、リエゾンオフィスのLに相談した。K教授はM社を設立し、役員を兼業した。また、Lもリエゾン担当の立場から、M社を積極的に応援したいとして、支援だけでなく、出資にも応じた。M社は、J大学との共同研究を望み、共同研究が始まった。当該共同研究の成果として、知的財産権が生じたが、知財委員会では、Lの主張により、当該知財はM社へ技術移転されることになった。


事例5 物品や試料などの購入

N大学のO教授は、O教授個人が持っている特許権について、企業Pとライセンス契約を締結し、ロイヤリティ収入を得ている。O教授は大型の科学研究費補助金を申請・採択され、大規模な実証実験を行うことになった。そこでO教授は、実験に必要な装置を購入するための機種選定委員会委員となり、研究上必要と思われない詳細な仕様を提案した。P社の製品はこれらの条件を満たしており、結果的にN大学はP社の装置を購入することとなった。 

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