「運命の歌」
      作歌 大森芳秋(未詳)
      作曲 赤松義夫(19理甲)



天地悠久たり 而して人生蜉蝣の如し
汝無限の生を夢見よ
こよなくも生きんと欲せば
汝浮世のあからさまなる
苦しみを避くる勿れ

  1. 図南城外春深み
    花の香高う匂へども
    時世の嵐荒ぶとき
    さ中に立ちて嘯けば
    しぬぴの光彩をなし
    聖土の薔薇匂ふなり

  2. 七宝花の咲く処
    紫雲の時を惜しむれば
    瓔珞搖らぐ生と法
    無間の巨鐘(かね)を鳴らしつゝ
    永遠なる生命仰ぎつゝ
    蒼穹遙か進み行く

  3. 仮令地の人百たるも
    人為の埒を越え出でゝ
    天馬の将来を望むれば
    自由の精気燦然と
    霊の日影に照らされて
    集めし瞳なほ若し

  4. 時世流れて幾春秋
    春をめぐりて栄光は
    盛枯の影を秘めつゝ
    あゝ今ここに復り来て
    希望の炎赫々と
    真理の空に映ゆるなり

  5. 運命やこゝにさぴし子は
    夢路に奇しび小夜小夜の
    愛し終焉(おわり)は霊光の
    無限の生の首途かな
    瑠璃水今や玲瀧と
    不滅の信をたゝふなり

  6. 来し方さゞめに堪へかね
    詩歌の小笠に紅の緒を
    結びも敢へず足悩(あなゆ)めば
    憧れ清き花藹の
    (ひ)きたる影に微笑し
    百合花添へある乙女あり

  7. 聖者雅典の森に撞く
    絶えて尽きせぬ春の夜を
    鋳にたる鐘に誉へつゝ
    塵の疾風を払ふなり
    あゝ常楽は(じょうぎょう)和ぎつ
    高歎久遠破壊のあと