「端艇部々歌」
      作歌 沼間昌教 (1文乙)
      作曲 吉田丈二 (1理乙)
      採譜 荻野 泉 (20理乙)

  1. 落花の雪に踏み迷ふ
    交野(かたの)の春の桜狩り
    古き歌人(うたびと)しのびつゝ
    春の流れを上るかな

  2. 巨椋(おぐら)ヶ池の秋の月
    (なぎさ)に立ちて思ふ時
    旅に悩める若人(わこうど)
    (まな)に愁の涙あり

  3. 淀の流れよいざさらば
    消え且つ結ぶうたかたの はかなき姿見やりつゝ
    彼の海原に漕ぎ出(い)でん

  4. 潮逆巻き波躍る
    紀淡の海の夕まぐれ
    かの蒼穹(そうきゅう)に嘯(うそぶ)けば
    白衣(びゃくえ)の袖の振ふかな

  5. 松は緑に砂白き
    淡路の島の磯伝ひ
    橘薫る森蔭に
    夢いと多き乙女あり

  6. 須磨の関屋に船よせて
    (かよ)ふ千鳥の鳴く声に
    友よ美(よ)き酒くみ交わし
    旅の疲れを慰めん