「逍遙」
      作歌 本位田重美(5文乙)
      作曲 本位田重美(5文乙)
      採譜 荻野 泉 (20理乙)



  1. 薄紫に黄昏て
    静寂深き帝塚台
    小さき星の二つ三つ
    み空に瞬きそめてけり

  2. 今宵寮より唯独(ひと)
    さすらひ出(いで)し若き子の
    クローバ茂る丘に見る
    遙か故郷の夢淡し

  3. 嗚呼追憶(おもいで)の野よ丘よ
    たかき希望(のぞみ)を胸に秘め
    故郷(ふるさと)さらばとたち出でし
    辿るも遠き夢の跡

  4. 生駒(いこま)の山にしろがねの
    月は折から登りそめ
    葉末に宿る白露も
    若き涙に似たる哉

  5. み空に月は冴えわたり
    森影清き聖天(しょうてん)
    清き光を帆にうけて
    小舟浮かべるちぬの海

  6. 見よ音もなく夜は更けて
    こゝ住吉(すみよし)の大鳥居
    木蔭(こかげ)に独り佇める
    若き遊子(ゆうし)の愁いかな

  7. さあれ遊子よ故郷の
    夢よりしばしさめはてゝ
    たゞ微笑みて友どちの
    (うま)き団欒(まどい)に帰りなん