「逍遙」
作歌 本位田重美(5文乙)
作曲 本位田重美(5文乙)
採譜 荻野 泉 (20理乙)
-
薄紫に黄昏て
静寂深き帝塚台
小さき星の二つ三つ
み空に瞬きそめてけり
-
今宵寮より唯独(ひと)り
さすらひ出(いで)し若き子の
クローバ茂る丘に見る
遙か故郷の夢淡し
-
嗚呼追憶(おもいで)の野よ丘よ
たかき希望(のぞみ)を胸に秘め
故郷(ふるさと)さらばとたち出でし
辿るも遠き夢の跡
-
生駒(いこま)の山にしろがねの
月は折から登りそめ
葉末に宿る白露も
若き涙に似たる哉
-
み空に月は冴えわたり
森影清き聖天(しょうてん)や
清き光を帆にうけて
小舟浮かべるちぬの海
-
見よ音もなく夜は更けて
こゝ住吉(すみよし)の大鳥居
木蔭(こかげ)に独り佇める
若き遊子(ゆうし)の愁いかな
-
さあれ遊子よ故郷の
夢よりしばしさめはてゝ
たゞ微笑みて友どちの
美(うま)き団欒(まどい)に帰りなん
|