「出師の譜」
作歌 大松 亮一(5文乙)
作曲 池田昌一郎(5文甲)
改曲 赤松 義夫(19理甲)
同 荻野 泉(20理乙)
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武人の墓や苔むして
蜂蝶(ほうちょう)眠る夏の草
濁世をなげく三尺(せき)の
秋水光今はなく
浮華の巷に我立てば
絞る鎧の袖ぞなし
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栄華の夜は平氏かな
源氏起りて一朝の
夢と淡くも去りはてし
青史は印鑑(かがみ)残したり
いざや剣とり進まなん
花の都で鞘走れ
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血潮は凝つて紅の
薔薇(しょうび)あざむく意気の花
此の花蔭に集ひては
武人の思ひいやまして
虎徹の太刀のつぱなりに
紅霓の意気熱の腕
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花とこしへの春ならじ
痴人夢見る花の世も
やがて尽きゆく美酒(うまぎ)なれ
地の現世(うつしよ)をとはにせき
磨きこし魂(たま)意気の花
万朶の花と咲かんかな
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