「水泳部々歌(一)」
作歌 入代俊雄(2文甲)
採譜 荻野 泉(20理乙)
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夏白銀(しろがね)の雲崩れ
紺碧波に花ひらく
まひるの海にひたる時
我等が胸は高鳴りて
いのち愛(かな)しと思ふかな
いのち愛しと思ふかな
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あゝ寂然(じゃくねん)の水の面に
浮ぶ我れらに陽は照れり
鴎はゞたく空の下
魚(いさな)と泳ぎ戯れて
魚と泳ぎ戯れて
若きいのちを称(たた)へなん
若きいのちを称へなん
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海黒々(くろぐろ)と暮れゆけば
漕ぎ出(づ)る船の艫にともに
夜光(やから)の虫の光るかな
ふなべり垂れし我が手にも
ひそけく光る哀れさや
なんぢ落ちたる海の星
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月ぬれぬれて波に浮き
沖の潮騒(しほざい)はらばらに
海の魅惑を語るとき
君よ静かに我に倚(よ)れ
銅色(あかがね)の我がはだに
藻の花ほのかに匂はずや
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陸をか()ゆく我にひそぴそと
海の囁き聞ゆなり
まひる砂地に腹這(はらば)ひて
沖辺の白帆見送りし
磯馴(そなれ)の松のかたほとり
君よ歌はん海の唄 |