「雙悲恋の譜」
作歌 徳永 元 (2文乙)
作曲 徳永 元 (2文乙)
採譜 荻野 泉 (20理乙)
-
かをるや野辺の南瓜(なんが)花
羽がひ打ちかひ舞い狂ふ
雄蝶雌蝶を見守(まも)る時
思ひはせまる若人の
-
淀の流れの夕堤
落陽(いりひ)をあびて逍遙(さすら)ひし
去年(こぞ)初夏偲ぶれば
逝きて帰らぬ君恋し
-
処は移り時去れど
陵下に夏の蘇り
永遠の旅路のその君に
おもかげかよふ乙女あり
-
小町ヶ塚のおぼろ月
誰(た)が故に泣くその涙
君なきの我の空し心
慰(や)らむ乙女子あるものを
-
朱染み渡る朝にも
星またゝける夕(ゆうべ)にも
慕ひに恋ふる乙女子が
恋知らぬよのいぢらしや
-
思はつのる夏の夜に
彼女が住家をもれ聞ゆ
歌声今はとだえして
月たゞ虫の音にむせぶ
|