「西南寮々歌」
作歌 清徳保男 (4理乙)
採譜 赤松義夫 (19理甲)
- 青雲かすかにたゞよふ空を
まひるの光に風ゆるがせて
若草みどりに砂丘は赤く
白日大地に光はみちて
大仙陵下に夏うつろへば
ものいはぬものにあきつはかるし
あゝ遷り行く時をしむべく
沈黙の血しほ流るゝ若き日よ
- 南風薫(くん)ずと太陽は笑む
真夏の親しきおとなひうけて
もの皆うるほひ光にゆるぎ
木々なすしげみに緑くるへり
かゞやきみなぎり声高くよぴ
地に生れ出づるかげろふは舞ふ
今この夏の気胸にしうけて
天かける我が魂にみつるかな
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蒼海ひようびょう曙そめて
金剛葛城紫淡し
すがすがしきかな香のかんばしく
ローレルかざせる若き額に
第一の光ほゝゑみてりぬ
清爽白路(せいそうはくろ)を先駆者ははせ
つぐべき時代の偉大をつたふ
地にありて永世(とこよ)をきはむ時なりと
-
うるはし薫の匂ふばかりに
春風のどけく川辺をふけば
楊柳音なく葉はひるがへり
いろくづうごかぬ水きよらかに
夢あり友どち集ひいだきて
幸(さち)あるこの日を歌ひつくさず
雲いで雲さり止めがたくして
若き日の憂に似たる思かな
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雨音さつきのゆかリの花と
かすかに地をうつ音なつかしみ
玉手の山なみ麓の森を
幽明ましろくけむり立ちたり
楠の葉ゆたかに水うるませて
夕庚(ゆつゝ)の光梢をゆらぐ
はてなき空ゆく煙さぴしく
たまきはる命の果を思はずや
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冬の夜ゆらめき六寮(りくりょう)わたる
我等が歌声ひとみうるほひ
相よる友どち感激の火に
今宵のうたげ尽きざる幸や
かの空かの海かの大地をば
永久なる理想のいつくしみもて
はぐくむわれらが感慨ふかく
唯一のこの若き日をうたはずや
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