「大高別離の歌」
作歌 三田英一 (4文甲)
作曲 永井幸次 (大音校長)
採譜 荻野 泉 (20理乙)
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あゝ落日はあかあかと
丘にかげりてうつろえば
美(うる)はしかりし若き日の
返らぬ影を見たるかな
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華やかなりし青春の
宴(うたげ)の夢の名残こそ
人に知られずかの丘に
熱き涙に葬らん
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光も消えてうすれ陽(び)の
たゞ夕闇のすゝり泣き
あゝ何時までか手をとりて
交(かたみ)に春をたゝふべき
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三年(みとせ)の秋の歓楽(かんらく)の
見よや尽きせぬ花の床
匂いゆたけき青春は
悲歌にまじりて乱舞すよ
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冷たき智慧のみなぎりに
真昼の夢の褪(あ)せゆけば
つひに別れの日となりぬ
あゝ我友よ我が丘よ
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涙拭(ぬぐ)はず頬ふせて
濃き紫の杯に
春を惜しみて汲む酒の
悲しき酔(ゑひ)はさめんとす
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蝋涙(ろうるい)ほのかにしたゝりて
燃ゆる命をきざむ時
幸多かりしあこがれの
丘を去りゆく嘆きかな
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