「嗚呼帝陵の」
作歌 西口清一 (5文乙)
作曲 永井幸次 (大音校長)
- 鳴呼帝陵の春の月
星霜三年を思ひては
感激咽ぶ岡の花
涙の露の誘ふ時
永久(とわ)の理想(のぞみ)の溢れきて
若き血潮は躍らずや
- 阿倍野が原に草萌えて
夕陽(ゆうひ)に映ゆる澪陽の
図南の城に影ゆらぎ
功績(いさおし)高し豊公の
遺風の跡を慕ひつゝ
理想の殿堂創造らまし
- 思へば遠き南朝の
忠魂眠る金剛に
月影清き千早城
廃墟の影に彷徨(さま)へば
猛き武夫今は無く
降魔の剣の音ぞ泣く
- 憤慨よく呑む先人の
熱涙消え行く果敢(はか)さや
懦夫愚人囂々に
太平の夢やうつり行く
現世の迷路に佇めば
健児が魂(たま)に憂あり
- 悲歌哀吟の人も無く
静寂こむる淀川原
巨城の影やうつろひて
路傍すだく虫の音に
若き男の子の瞳に湧く
その哀愁の涙かな
- 花の色香は移へど
げに青春の愛の火に
燃ゆる情の変らじや
迷の夜や深くとも
友よ憂に泣く勿れ
我に黙示の誓あり
- 寿永の秋の木枯に
栄華の花散り果てし
武人の夢を偲びては
愛なき業の消え易く
創業ここに五星霜
健児が使命いや高し
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