「嗚呼帝陵の」
      作歌 西口清一 (5文乙)
      作曲 永井幸次 (大音校長)



  1. 鳴呼帝陵の春の月
    星霜三年を思ひては
    感激咽ぶ岡の花
    涙の露の誘ふ時
    永久(とわ)の理想(のぞみ)の溢れきて
    若き血潮は躍らずや

  2. 阿倍野が原に草萌えて
    夕陽(ゆうひ)に映ゆる澪陽の
    図南の城に影ゆらぎ
    功績(いさおし)高し豊公の
    遺風の跡を慕ひつゝ
    理想の殿堂創造らまし

  3. 思へば遠き南朝の
    忠魂眠る金剛に
    月影清き千早城
    廃墟の影に彷徨(さま)へば
    猛き武夫今は無く
    降魔の剣の音ぞ泣く

  4. 憤慨よく呑む先人の
    熱涙消え行く果敢(はか)さや
    懦夫愚人囂々に
    太平の夢やうつり行く
    現世の迷路に佇めば
    健児が魂(たま)に憂あり

  5. 悲歌哀吟の人も無く
    静寂こむる淀川原
    巨城の影やうつろひて
    路傍すだく虫の音に
    若き男の子の瞳に湧く
    その哀愁の涙かな

  6. 花の色香は移へど
    げに青春の愛の火に
    燃ゆる情の変らじや
    迷の夜や深くとも
    友よ憂に泣く勿れ
    我に黙示の誓あり

  7. 寿永の秋の木枯に
    栄華の花散り果てし
    武人の夢を偲びては
    愛なき業の消え易く
    創業ここに五星霜
    健児が使命いや高し