「第八十回記念祭歌」
作歌 日高基男 (25理乙2)
作曲 赤松義夫 (19理甲)
- 瞼(まぶた)の影に浮び出づ
我が故郷(ふるさと)の三層楼
帝塚(てづか)の野邊をさすらひし
白線二條の朴歯(ほうば)の音(ね)
自治の燈火(ともしび)瞬きて
惜春の夢醒めやらじ
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學理(まなび)の道はいや深奥(ふか)く
圖南(となん)の窓に読書(ふみよ)めば
憧憬(あくがれ)高く踏み入りて
弊衣(へいい)にかかる櫻(はな)吹雪
夕陽赫(あか)く寮庭(にわ)に映え
誰(た)が口誦(ずさ)む「逍遙歌」
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クローバ萌ゆる丘に伏し
蒼穹(そうきゅう)に白雲(くも)仰ぎ見つ
惇(あつ)き賢友(とも)との語(かた)らひに
四つ葉に幸を栞りては
人の愛情(なさけ)を吾知りぬ
ああ純真の想春譜
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端艇(たんてい)淀に棹させば
腕(かいな)に涼し飛び沫(しぶ)き
緑風清く川面(おも)にゆれ
長堤(ちょうてい)遠く流れ行き
巷の雑塵(ちり)は消え去りて
水の都は暮れなずむ
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篝火(かがりび)高く天を染め
若き生命(いのち)の美酒に酔ひ
抱肩(かたく)む熱き頬燃えて
我が揺籃の學舎(まなびや)は
榮光の子を見守りぬ
感涙盡きぬ記念祭
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明治・大正はや旧(ふ)りて
昭和の御代も過ぎ行きぬ
警世の聲(こえ)地に堕ちて
遊民多き平成の
憂國の士に今告げん
帝寮健児の情熱(ねつ)の寮歌(うた)
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夢覺(さ)めくれば霜月や
創業遙か八十年
紅顔齢(よはひ)に移ろふも
心は青春(はる)の男児(おのこ)らが 逝きにし畏友(とも)と共に舞ふ
高き理想の「全寮歌」
「嗚呼黎明は近づけり」
「嗚呼暁鐘は鳴り響く」
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