「第二十七回記念祭歌」
作歌 佐藤一男 (26文丙)
作曲 坂本健二 (25理乙1)
- 斜陽(ななめび)丘壑(おか)に薄れ行き
角笛(つのぶえ)渓谷(たに)に谺する
黄昏迫る搖籃(ようらん)に
二十七年歳(にじゅうななとせ)廻歴(めぐり)来し
今宵も焚かん祝賀(ことほぎ)の
紅蓮(あかあか)舎庭(にわ)に祭り火を
- ローレル匂ふわが苑に
移らぬ北辰(ほし)を仰ぎつゝ
いざ君乾せよ杯盃(さかづき)の
琥珀の淡き美酒(うまざけ)を
謳歌(うた)はんさらば花蔭に
我等が鮮血(あか)き情熱(ねつ)の歌
-
饗宴(うたげ)の宵も更け行けば
早や三更の月の影
敗れし丘垤(をか)は城朽ちて
霜月虚空(そら)に懸け渡り
哀愁(かなしみ)帯びし竪琴(たてごと)を
消え行く形象(もの)の奏弾(おと)と聴く
-
滔々世紀(とき)は流転(ながれ)ゐて
頽廃の声地に満てど
憂ふるなかれ邪曲(よこしま)の
悪魔(サタン)に対向ひ快馬(かいば)駆る
青雲高志の我が友の
陵頭に立つ雄姿見よく
-
黎明(あけぼの)来たる革新(あら)た世の
映輝(かがや)く幕は開かれぬ
往昔(ふる)き衣ぞ脱ぎ棄てゝ
守護(まも)りて往かん永久(とわ)の栄光(はえ)
真理(ただし)き道は碧空(あおぞら)に
弧雁の如く清明(さやか)なり
-
祭火今や消え果てゝ
東天薔薇(そうび)に霞む時
友どちいざや丘墟(をか)に立ち
青史に著るき帝陵の
去り行く悲哀(かな)し挽歌(ひきうた)を
瞳孔(ひとみ)も陰(かげ)し聴かん哉
(昭和24年)
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