「第二十四回記念祭歌」
      作歌 平木英一 (25文乙)
      作曲 瀬川 馨 (23理甲1)


  1. 秋乾坤を蔽ひては
    万象(もの)悉く枯色あり
    創業の日はめぐり来て
    かがりの焔(ほむら)天焼けば
    集へる健児六百の
    眉宇粛殺の気に満てり

  2. ひがし膽駒(いこま)の嶺高く
    ここ倍原に気は澄みぬ
    昔の跡は変らねど
    時世空しくうつろひて
    社稷の姿今如何に
    秋凄惨の思ひあり

  3. さはれ憂愁(うれひ)の我が友よ
    悲歌慷慨の日は去りぬ
    離騒の悲曲奏でんは
    犬儒弱夫の輩のみ
    敢意の意気に満ち満てる
    自由の歌を歌はばや

  4. 阿諛諂佞(あゆてんねい)ははぴこりぬ
    迷へる民は世に満ちぬ
    されど玄珠は我にあり
    嵐の夜の明け初めて
    自治暁鐘の鳴る所
    理想の輝なからめやや

  5. 寒灰の野の直中に
    緑蘿のアーチ打ち建てん
    銀鞍白馬の美少年が
    黒酒(くろき)を汲みて勢ひ立ち
    声高らかに舞ひ祝がん
    今日二十四の記念祭

          (昭和六年)