「第十一回記念祭歌」
      作歌 神林幸次 (9文乙)
      作曲 野崎 始 (10理乙)


  1. 蕭条(しょうじょう)秋の更け行きて
    野路の刈萱打ち靡く
    帝塚ケ台の夕月(づく)
    初雁渡る大空に
    思ひを寄する若き子は
    今宵ぞ祝がん諸共に

  2. 青空高く気は澄みて
    鱗雲(りんうん)浮び馬は肥ゆ
    干戈は既にをさまれば
    風塵彼方に橄欖の
    木蔭に眠る雛鳳は
    夜半の嵐に夢を見ん

  3. 荒野は更けて鳥羽玉(うばたま)の
    闇に轟く鼓角の
    (ね)
    (くさむら)相すだく虫声も
    忽ち絶えて若武者の
    (かざ)す真理の炬火(きょか)は燃え
    守る正義の旗標(はたじるし)

  4. 悍馬嘶き嵐呼び
    山川動(とよ)み大地震る
    黄塵四方に満ち満ちて
    乾坤ゆする雄叫びに
    剣閃(ひらめ)き鞆(とも)鳴りて
    篝火凄く闇に燃ゆ

  5. 暁の明星瞬きて
    明け行く空に仰ぎ見る
    古城霞めど搖ぎなく
    朝霧破り立ち昇る
    日輪燃えて創業の
    旌旗靡きて鐘響く

  6. 鳴呼此の日より幾星霜
    創業成りて人は去り
    古城再び秋長けて
    時雨窓うつ夕まぐれ
    守成(しゅせい)も固き六百の
    図南の翼風を恋ふ

  7. 城壁今や苔蒸して
    山河残りて世は移り
    濁世の嵐荒ぶ時
    村雨過ぐる丘の上
    深草分けて偲び見ん
    強者(つわもの)どもが夢の跡