総長

大阪大学総長の西尾がみなさまからの質問にお答えします 大阪大学ってどんなところ?
素朴な質問のようで、
答えられる方は実は少ないんじゃないかと思います。

今回、2017年・春の特別企画として、
大阪大学の「西尾総長」がみなさまの質問をもとに、
素朴な疑問から普段語られることのない話にまで答えます。

回を重ねるごとに、話も深まっていくのでお楽しみに。
それではようこそ、大阪大学へ。

今回採用された質問はこちら

東大や京大といった他大学のことはどう思ってるんですか

総長が大学の中を色々動かすときに何が一番大変なんですか

●●●●●●の書類を飛躍的に簡素化していただきありがとうございます

総長への質問はこちらから
西尾
こんにちは、大阪大学の総長の西尾です。
安田
2回目となる今回は、
あえて少し答えにくい質問をピックアップしてみました。
西尾
不安ですけども... 受けて立ちましょう。(笑)

安田
まずは、兵庫県の大学探しが止まらないさんからのご質問です。
「東大や京大といった他大学のことはどう思ってるんですか」
オフィシャルには答えにくそうな質問をあえて選んでみましたがどうですか?
西尾
東大に関してはね、一言で言うと物量が圧倒的に違うんだわ。
具体的には、教員の数、大学の予算、それから組織の大きさ。
だから東大は層が厚いですよ。
一方で京都はやっぱりあの独特の雰囲気が強い。
それから他には...
安田
キリがないのでこの2つで止めましょう。笑
西尾
ははは。世界にも大学はいっぱいあるから。笑
例えば大阪大学としてキャッチアップできるところとすれば、まずは東大か京大なんだよね。
一時期私が大阪大学の理事をやってた時に、何とかできないかなと考えたのは科研費の獲得。
もうちょっと頑張ったら何とかキャッチアップできそうかなと考えて色々と策を練ったこともありますよ。
ただね、東大・京大というものと同じ尺度で測れる方向に進むということは大阪大学がやるべきことではないと思う。
大阪大学は大阪大学のやり方で進む必要がある。
安田
よくそう聞くんですが、
大阪大学のやり方というものがピンときてないです。
外から見るとどこの大学もやってることが一緒に見えますし。
西尾
大阪大学はできた経緯にヒントがあると思ってます。
大阪大学は大阪に帝大を作りたいんだという大阪の方々の請願からできたんです。
京都に近い場所にもうひとつ帝大はいらんだろという声もあったんだけど、
大阪の産業界・経済界・市民の方々が大阪に帝大を作りたいんだと強く推してくれてできたのが大阪帝大。
そう考えた時に、大阪大学が進むべき道はそういう産業界、大阪府や市町村、そして市民との連携だと思ってますよ。
具体的には今いくつか進んでるのでそれはどこかで。
安田
ではそれはどこかで、ということで。

ところで、いわゆる大学ランキングとかで数字が出てきたときには、
東大・京大や他の大学を意識はしているものなんですか?
実際問題数字で出てきてしまうじゃないですか。
西尾
やっぱり...潜在的には意識しているんだろうなと思うよ。
数字で出ちゃうものは、それを良い方向に進めたくなってしまう気持ちもわかるもの。
すぐに我に返るけどね...(笑)

安田
次は、東京都のめくすたんさんからのご質問です。
「総長が大学の中を色々動かすときに何が一番大変なんですか」
とのことですが、どうでしょうか。
西尾
大学ってね、企業のようにトップダウンではいけないんですよね。
よく大学の総長のリーダーシップ、リーダーシップって言いますけどね、
大学の場合は、トップダウンで全部決めていっても、
構成員の方々がやるっていうインセンティブがわかないとやれないんですよ。
安田
ムリヤリやってしまうと、
言葉は悪いかもしれませんが、
独裁みたいになりますね。
西尾
ああ、そっちはうまくいかないことが多いみたい。
海外の大学でもトップダウンだけで大学を運営しようとした人がいたんですけどね、
見事にキックアウトされたと聞きました。
安田
日本だけの問題じゃなかったんですか。
西尾
大学の運営の最適解は世界的に見つかっていない。
いろいろ試行錯誤している、というのは日本だけじゃないんです。
安田
お手本がないとすると、何をやったらいいかわかんなくなりそうですけども。
西尾
トップダウンの決定と、ボトムアップからの意見のバランスをいかにとるかが重要だと思ってます。
そこでね、一番大事なのは透明性なんですよ。
この企画もそんなことを考えていたときに話が出てきたのでぜひにと思ってやってるんですよ。
安田
総長が直接話せる場所を、という提案をした記憶があります。
西尾
ええ。
大学はトライアンドエラーができるところですから。
できることはまずやってみないと。(笑)

安田
つぎは、大阪府のはんだいのきょうじゅさんからの質問です。
質問というかお礼がきてます。
毛色が違ったので選んでしまいました。
西尾
お礼...?
何かしたかな?
安田
「●●●●●●の書類を飛躍的に簡素化していただきありがとうございます」と。
西尾
それは、◆◆◆室が中心になって提案したものですね。
もちろん総長である私と執行部が決断に関わっているけども。
あ、書類の名前と部署の名前伏せといてね、一応。
安田
伏せておきました。
西尾
ありがとう。
これはね、作るのに結構な労力がいる書類だったんですよ。
各学部の担当教授と事務職員の時間を毎年2週間くらい奪ってたと思うよ。
安田
数十人の2週間だとすると人件費換算で数千万円分くらい使ってたことになりますか。
西尾
そう、その分だけ研究や教育に割ける時間も増えたんですね。
去年必要だった書類が、今年も本当に必要なのかってのは常に考えないといけない。
さっき出てきた◆◆◆室だけでなくて、他の部署でもコストメリットの判断で
不要な書類は減らすという方針をとっています。

こういうところを褒めてくれる投書、すごく嬉しいです。
これからももっと頑張りますよ。
安田
質問だけでなくてこういうご意見にも目を通しております。
何か思いついた方はためらわずにここ(投稿フォーム)からどうぞ。

西尾
今回は前回よりも楽に話すことができました。
安田
答えにくい質問を用意したつもりだったのですが、
なんだかそうでもなさそうで。(笑)
これからは、より突っ込んだ質問も聞いていこう、なんて思いました。
西尾
不安もあるけど楽しみでもありますね。
これからも素直に答えていきますので、
あまりきばらずに気軽に質問をいただければと思います。
安田
ということで質問はこちらから投稿できます。
よろしくお願いします!