OSAKA UNIVERSITY GUIDEBOOK 2015
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高齢化による歯科疾患の多様化や歯科医療に対するニーズに応えるため、臨床と基礎との壁を取り払い、最先端の「口」の科学向上に力を注いでいます。また、“食べる”“味わう”といった口を通した行動を科学的に追究。生活の質を向上するために、歯科医学がリードできる分野として研究を進めています。高齢化社会と生活の質向上に応える「口」の研究。2012年に、薬科学科を基礎とする「創成薬学」と、薬学科を基礎とする「医療薬学」の2専攻に改組しました。本研究科では、「薬学」を総合的なライフサイエンスの発展を目指す学問領域として位置付け、研究教育を推進。創薬・医療にかかわる広範な分野において、トップランナーとして活躍する人材を多数輩出しています。薬学を通じて、ライフサイエンスの発展に貢献する。特集大学院研究科紹介教育システム教育環境インフォメーション薬学研究科大学院創成薬学(博士前期課程・博士後期課程)医療薬学(博士課程)歯学研究科大学院口腔科学理学研究科/医学系研究科/歯学研究科/薬学研究科「口の難病」の克服を目標として、世界初のプロジェクトが立ち上がりました。最適条件(サイズや性状)のナノマテリアルは、胎盤や脳などにも薬物送達が可能。■Topics■Topics 口の病気には現代の歯学・医学では治療が難しい病気がまだまだたくさんあります。残念なことに、そのような「口の難病」の治療法は確立されておらず、専門的医療機関や専門医もほとんど見当たりません。世界的にみても、「口の難病」対策を統合的に行っている研究・医療機関は極めて少なく、「口の難病」が現代医療の枠組みから外れてしまっているのが現状です。 「何でも美味しく食べられる」ことは万人が望むことであり、そのためには口の健康が必要不可欠です。すべての人に約束されるべき「Quality of Life(生活の質の向上)」を守るため、本研究科は文部科学省から概算要求特別経費が認められ、歯学部および附属病院とともに「口の難病」プロジェクトを開始しました。このプロジェクトでは、6年のあいだに「口の難病」の病因解明と治療法開発を行います。例えば、生物学的基盤に立脚した再生歯科医療・内科的歯科医療の開発、オーダーメイド治療法の確立など。さらにプロジェクトを昇華させ、日本発・世界初の「口の難病」国際ステーションを創成し、難病者の自立、国民保険の推進、健康長寿国家の確立への貢献を目指します。「口の難病」から挑む、ライフ・イノベーション。 本研究科では、文科省・特別経費により「先導的薬剤師養成に向けた実践的アドバンスト教育プログラムの共同開発」が実施されています。そのため、全国立大学薬学部14校の主幹校として、Pharm.Dコースを含めた6年制薬学教育の高度化に向けた教育プログラムの開発に取り組んでいます。また、文科省・創薬等支援技術基盤プラットフォーム事業の世話部局として、化合物ライブラリーを用いた創薬スクリーニングに関する支援および技術開発にも貢献しています。さらに、厚労省・革新的医薬品・医療機器・再生医療製品実用化促進事業により、核酸医薬の創出に向けた研究を行っています。これらに加え、文科省・特別経費により「創薬プロセスの架け橋となるiPS細胞基盤技術構築プロジェクト」も実施しており、創薬を加速するための基盤技術の開発を進めています。 このように、本研究科はさまざまなプロジェクトによって「創薬基盤技術力」と「創薬臨床力」をさらに強化し、「ものづくり(創薬)」を通してヒトの健康に大きく貢献しています。「ものづくり(創薬)」を通して、ヒトの健康に貢献。49

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