OSAKA UNIVERSITY GUIDEBOOK 2015
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医学系研究科大学院理学研究科大学院あらゆる科学技術の基礎となる「理学」。本研究科では、これからの科学技術を築く成果を上げ、ひいては世紀を超えて生き残る研究を目指しています。自由で創造的な“研究第一主義”の学風のなか、国際的に活躍する研究者を育成。また産業界のニーズに応える高度専門職業人の養成も図っています。技術革新と豊かな生活につながる、基礎科学の研究。医学・医科学専攻では、自立した研究活動の基礎となる豊かな学識と高度な研究能力を養成。産学交流の絆も深く、先端的な研究を社会へ還元することも重要な任務です。保健学専攻では、柔軟な思考力と高度な博識をもち、21世紀における看護・医療技術科学の発展をリードする研究者の育成を目指しています。世界が注目する、医療最前線の研究拠点。医学(博士課程)保健学(博士前期課程、博士後期課程)医科学(修士課程)数学化学物理学生物科学宇宙地球科学高分子科学大学院・研究科紹介“誰も出来ないことをやる。 誰もやらないことをやる。” 生体は複雑な情報伝達ネットワークによって成り立っています。近年、生命科学の目覚ましい発展によって、タンパク質やDNAといった生体分子の働きは少しずつ明らかになってきました。しかし、脂質や糖質といった生体分子も重要な役割を担っており、その解明は大きな課題となっています。 この研究プロジェクトでは、タンパク質やDNAと性質も研究方法も異なるために研究が遅れていた「脂質分子」に着目。2010年より、科学技術振興機構(JST)による「ERATO 脂質活性構造プロジェクト」が理学研究科にて立ち上げられました。有機化学・分子生物学・生物物理学・計算科学などの研究者が、大学内外から集結。脂質などの生体分子が生体で働いているようすを、最先端の研究設備を駆使して分子・原子レベルで調べています。この研究を成功させるためには、化学・生物学・物理学にまたがるさまざまな分野から知恵を出し合い、研究方法を作り上げる必要があります。このため、2011年から基礎理学プロジェクト研究センターに実験室を設置。生命の謎に迫るための息の長い研究を行っています。 脳血管障害や脳・脊髄の外傷などによって、いったん損なわれた中枢神経機能は十分に回復しません。「軸索再生阻害因子」と呼ばれる分子の存在が、その原因のひとつになっています。軸索再生阻害因子は、その名のとおり、損傷された軸索の再生を抑制して、神経回路の修復を阻む蛋白質で、NogoやMAGなどが有名です。私たちは、これらの蛋白質がどのように神経細胞に働きかけるかという分子機構を解明し、新しい分子標的治療法の開発に取り組んでいます。 一方で、中枢神経障害のあとに、ある程度の機能の回復が、長い時間のうちに自然にもたらされることがあります。機能回復はしばしばリハビリテーションによって促進されます。このときには、代償的な神経回路網の形成が起こっていることがわかってきています。ところが、この代償性神経回路の形成を制御するメカニズムについては、十分に解明されていません。脳や脊髄が内在的にもっている修復能について知ることができれば、中枢神経回路の修復を高める治療法の開発につながると期待されています。脂質と生体膜の不思議を探る「脂質活性構造プロジェクト」。中枢神経障害の新しい治療法開発を目指して。■Topics■Topics各研究科資料のご請求方法は各研究科のホームページをご覧ください。資料請求はこちらホーム > 学部・大学院・施設 > 大学院 > 各研究科パソコンから本プロジェクトの主テーマである脂肪酸結合タンパク質に脂肪酸が結合する様子を示した結晶構造。右上は長い脂肪酸が、右下は短い脂肪酸が結合した時、左はそれらを重ね合わせた図。赤い線と球は、脂肪酸が短くなって生じた隙間を水分子が埋めている様子を示している。新しい中枢神経再生治療法の開発戦略。48

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