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第3ステージ突入!阪大発の新たな産学連携モデル

産学連携は大阪大学の原点

「大阪大学は地元大阪の経済界や財界、大阪府と大阪市、そして府市民の皆さまからの資金援助、そして何よりも強い熱意によって創られた大学です」そう話し始めた西尾章治郎総長。「官立でありながら民の力で教育や人材育成のために、学校を成長させてきたという大阪は特筆すべき都市。こうした地元の方々の支援に、どのように恩返しができるかが大阪大学の産学連携の基本理念になっています」と、産学連携を大阪大学の原点と位置づける。

 

常に画期的な産学連携モデルを導入

これまで大阪大学は、大学内に企業の産業創出拠点を導く「Industry on Campus」構想を掲げ、全国に先駆けて「共同研究講座・部門」や「協働研究所」を設置し、常に新しい産学連携のモデルをつくりあげてきた(第2ステージ)。

「共同研究講座・部門」が大阪大学の産学連携の目玉として誕生したのが2006年。大阪大学は研究者や施設、設備を提供する一方、参加企業は資金、研究者、研究資料等を提供することで、大学内に企業の産業創出拠点を設置した。この仕組みは、大学と企業が協議し、柔軟かつ迅速に研究活動を運営できることが大きな特徴。企業が投資効果を期待できる産学連携モデルとして定着し、今や50もの講座が学内に設置されている。

この「共同研究講座・部門」の先進的な産学連携システムをさらに多面化・大規模化したのが2011年設置の「協働研究所」。企業の研究所を大学内に誘致し、大阪大学の複数部局にまたがる共同研究を進めるとともに、ポスドクや大学院生が参加することで、研究成果の産業応用、研究の高度化に加え、企業・大学双方の高度人材育成を行うことができる。この制度もまた当時としては画期的な産学連携の「攻めのシステム」として奏功し、大阪大学が「イノベーティブな大学」と位置づけられる要因となったといえる。

今、新しいステージ「産学共創」へ

大阪大学の産学連携は、第1ステージでは「技術相談や個別の共同研究」、第2ステージでは「大学発シーズベースの共同研究の組織的展開」として、日本初の共同研究講座・部門、協働研究所により実績を重ねてきた。

そして今、「産学連携」を「産学共創」へとパラダイムシフトさせる第3ステージへと歩を進めつつある。「社会における活動主体が多様化し、それぞれが担う役割が重層的になってきた結果、産業界、大学の間の境界が不明確になり、オープンな対応が迫られてきています。これからは、何を目指すか、何が課題になっているかを、産業界と大学が共に考え、新しい知を創り出す、『共創(Co-creation)』する大学へと変革を遂げる必要があると考えています」と西尾総長。

 

基礎研究段階からの包括的な連携

第3ステージの具体的なアプローチのひとつである「基礎研究段階からの包括的な産学連携」は、「組織」対「組織」の共創モデルで、その仕組みや規模の大きさから注目を集めている。これまでの産学連携と何が違うのか。西尾総長は次のように語る。「寄附金等は、使途の制限が無く基礎研究への活用に適していますが、企業は株主などへの説明が困難なため、大学としては継続的に多額の寄附受入れを期待することが難しい。一方、共同研究は、実用的な研究成果の創出が求められるため、基礎研究よりも応用研究に投資されることが多くなります。これでは基礎研究への投資が難しい。そこで、大阪大学では、企業と共に基礎研究に取り組むため、企業と包括連携契約を締結し、研究成果の優先開示などの仕組みを構築しました。この仕組みは、大学は寄附金のように使途の制限を受けずに研究を行い、企業は共同研究のように最終的には研究成果を創出することができます。寄附金と共同研究・受託研究の双方のメリットをあわせ持つ新たな産学連携モデルです」

実際にこの仕組みを使って、大阪大学は2016年に中外製薬株式会社、2017年に大塚製薬株式会社とそれぞれ先端的な免疫学研究活動に関わる包括連携契約を実現させた。このうち中外製薬との包括連携契約では、中外製薬からの10年間にわたる年間10億円、総額100億円もの資金が大阪大学に提供される。

大学・企業双方にメリット

基礎研究の資金不足に悩む大学にとって、企業との包括連携契約のメリットは大きい。今回、大阪大学が企業から提供を受けた資金は、主に免疫学フロンティア研究センターの運営経費に充てられる。これにより、研究者が独自の発想に基づいて、自由に最先端の免疫学分野の基礎研究に専念できる学術環境が維持されるのだ。

一方、この包括連携契約は企業にとってもメリットがある。企業からの潤沢な資金提供を受けて生み出された基礎研究の研究成果を、大学の研究者は企業に定期的に開示することが義務付けられており、企業はその開示された研究成果の優先的な閲覧権を有する。企業として将来性を見出した研究成果については、協議の上、いち早く個別の共同研究契約を締結し、さらなる研究開発を進めることができるのだ。寄附金とは異なり使途の説明がしやすく、支出しやすいという点もメリットだ。

これからの産学連携

今後の展開について、西尾総長は、「今後も産学連携の新しいモデルを絶えず提示し、産学共創を強力に推し進めたい」と意気込む。「大阪大学はopennessを基軸に掲げています。常に産業界・市民に対して開かれた大学として、社会の負託を受けイノベーション創出を先導する人材育成と成果の発信をするため、社会の真のニーズや社会変革を受信するチャネルとしての産学連携の位置づけを強固にしていきたい」と未来を見据えて変革を続ける。

 

the voice of COMPANY ─ 企業の声

新たな創薬の芽の発見に期待

中外製薬株式会社 
参与/研究本部フェロー

服部有宏 氏


 今回大阪大学と中外製薬の間で交わされた「先端的研究にかかる包括連携契約」は、日本の大学においては拠出金額と長期の契約という点だけで注目されるべきではありません。

 この契約に基づき、免疫学フロンティア研究センター(IFReC)の中に免疫創薬共同研究部門が設立されました。ここでは、IFReCの最新の研究成果と当社が有する独自の抗体改変技術等との相乗効果で、新たな創薬の芽の発見が期待されます。また、長年培われた当社の創薬技術を活用し、知的財産の戦略的取得・活用を共有するなど阪大と当社のWIN-WINな関係を目指していきたいと思います。

 過去に岸本忠三教授(当時)のご指導により製品化され世界的な戦略品へと成長した国産初のIL-6(インターロイキン6)関連疾患の抗体医薬品に続く、次の大阪大学発の薬のシーズを求めて、今後活動して参ります。

企業情報 / 中外製薬株式会社
中外製薬は、医療用医薬品に特化し東京に本社を置く、バイオ医薬品をリードする研究開発型の東京証券市場一部上場の製薬企業であり、ロシュ・グループの重要メンバーとして、国内外で積極的な医療用医薬品の研究開発活動を展開しています。特に「がん」領域を中心に、アンメット・メディカルニーズを満たす革新的な医薬品の創製に取り組んでいます。


 

独創的な医薬品の創出につなげる

大塚製薬株式会社
取締役 研究部門担当

周藤俊樹 氏

 


 このたびの大阪大学免疫学フロンティア研究センター(IFReC)と大塚製薬における免疫学領域での包括連携は、弊社の創薬研究の推進につながるだけでなく、日本のアカデミアと産業界の新しい協業スタイルを示す特筆すべき出来事であります。

 大阪大学は大塚製薬の創薬の歴史の中で最も関係の深い大学の一つです。これまでにも大阪大学の先生方には有機合成、医学、薬学領域において、たくさんのご指導、ご支援を賜り、その結果、大塚製薬からの新薬創出につながった経験があります。今、免疫学は創薬研究の中で重要な領域として注目されています。IFReCの世界トップレベルの免疫学研究と大塚製薬の創薬研究を融合して、独創的な医薬品の創出につなげ、医療に貢献できるよう努めていきたいと思います。


企業情報 / 大塚製薬株式会社
大塚製薬は、企業理念である「Otsuka-people creating new products for better health worldwide」のもと、世界の人々の健康に貢献する革新的な製品の創造に取り組んでいます。医療分野では、中枢神経領域、がん領域を中心に患者さんの未解決の課題を探求し、その解決策として様々な新しい価値創造の実現を目指しています。



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