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ゲリラ豪雨の予測を可能に-高速・高分解能気象レーダを研究開発

大気現象を解明し迅速な予知・警報が可能に

近年、甚大な被害をもたらすゲリラ豪雨や竜巻などが増加傾向にある。「フェーズドアレイ気象レーダ」は、10秒間隔で詳細な3次元の降水分布を100㍍の分解能で観測できる。「128本のアンテナ素子を配列していて、従来のパラボラタイプのようにアンテナを機械的に何度も回転させる必要がありません。アンテナ素子の一本一本を電子的・ソフトウエア的にコントロールすることで、わずか30秒(以前は5〜10分)で60㌔圏内・高さ15㌔の三次元情報を隙間なく計測できます」。今後、大気現象の生成やメカニズムの解明、予兆現象の検出が進むことで、より迅速な予知・警報が可能になる。


「豪雨の卵」の発生から消滅までを連続観測

フェーズドアレイ気象レーダは2012年、吹田キャンパス工学研究科の屋上に完成した。「ゲリラ豪雨をもたらす積乱雲(豪雨の卵)は10分程度で急速に発達します。高く発達した積乱雲の中に強い降雨域が分布し、それが変化しながら地表面に達する様子を30秒ごとの連続したムービーとして観測できました」。その成果は、注意喚起や避難指示などの防災対策に結びつくとして大きな注目を集めた。内閣府のプロジェクトの一環として実証実験がスタートしたほか、理化学研究所のスーパーコンピュータ「京」とレーダのデータを組み合わせた「ゲリラ豪雨予測手法」なども開発された。

 

未来の可能性を信じる楽しさが研究を支えた

当初、米国で雷放電に関する研究に取り組んでいた。「雷放電は積乱雲の生成に伴って発生しますが、雷放電と積乱雲の生成や構造を捉える各々の装置は、時間的な分解能が異なるため、データを合わせても詳細な解析ができませんでした。高分解能を持つレーダの必要性を痛感し、現在の研究にシフトしました」

研究の可能性を世界に示すため、学生たちと高分解能レーダを手作りし、学会などで発表。当初は予算が限られ苦労も多かったが、「可能性を信じて夢中で取り組んでいた。『坂の上の雲』のように未来しか見えておらず、その楽しさが研究の大変さを支えていたように思います」

 

自分を信じ自分に素直になることが大切

現在、雨滴の大きさを正確に推定することで降雨量を明確に予測できる、次世代の「偏波型フェーズドアレイ気象レーダ」の研究を進めている。「気象庁などが持っている気象予測のノウハウ、進歩が著しい計算機性能、我々の高速・高分解能レーダによるデータが組み合わさることで、近い将来、気象予報は飛躍的に進歩するはずです」

信念は「自分を信じ、自分に素直になること」。大阪大学の後輩たちには「新しいことをしようとすると反対も多いが、勇気を持って自分のアイデアに挑戦しないと成果は出ない。他の人の意見をしっかりと聞いたうえで、自分がどう思うかを優先し、真剣勝負をしてほしい」とアドバイスする。

 

 

●牛尾知雄(うしお ともお)
1993年大阪大学工学部電気工学科卒業。98年同工学研究科博士課程修了(工学博士)。同年アメリカ航空宇宙局(NASA)マーシャル宇宙飛行センター研究員。2000年大阪府立大学大学院工学研究科助手。06年より現職。

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