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最新情報

阪大の教育・研究トピックス

大阪大学における最新の教育・研究事例を紹介するコンテンツです。

NL76号からの教育・研究トピックス

第3ステージ突入!阪大発の新たな産学連携モデル
2016年度、大阪大学は、中外製薬株式会社、大塚製薬株式会社との包括連携契約をそれぞれ締結した。
「新たな産学連携の形」として学内外から注目を集めている。
これまでの産学連携との違いは何か。
また、今後の展望について、西尾章治郎総長に聞いた。
学びへの意欲溢れる ポテンシャルを秘めた学生を イノベーション人材へと育成
2017年4月、大阪大学の新たな入試制度「AO・推薦入試(世界適塾入試)」を突破した
初の新入生が入学した。
世界にはばたくポテンシャルを秘めた人材を選抜するこの入試制度を通じて、
大阪大学が求める学生像と目指す人材育成に迫る。
常識を打ち破り革新的な金属錯体をつくりだす
理学研究科の今野巧教授は、「錯体化学で物質科学の常識を打ち破る」研究に取り組む。革新的な金属錯体の創製は、画期的な機能性材料を世界に発信できる新基盤技術の開発につながり、「縁の下の力持ち」として、物質科学分野での基礎研究に貢献している。

NL75号からの教育・研究トピックス

医脳理工と企業が緊密に連携し スーパー日本人育成を目指す
「人間力活性化によるスーパー日本人の育成」を掲げた、大阪大学センター・オブ・イノベーション(COI)プログラムがスタートして3年半が経過。「脳」や「免疫力」、「コミュニケーション力」を活性化させる研究により、社会全体の活性化を目指す大阪大学COIでは、医学・脳科学・理学・工学分野の研究者と企業によるunder one roofの緊密な連携が、めざましい成果を生み出し始めている。
舌がんを 切らずに治す、 放射線治療の 普及を目指して
舌がんの治療法には、切除と放射線治療などがある。歯学研究科の村上秀明准教授はこの放射線治療を行っている。放射線治療は舌を切らずに治すことが可能だが、副作用のリスクがあることなどから、切除を選ぶ患者が9割を占めている。この現状を打破するため、村上准教授は、副作用を防止する新しいコンセプトのマウスピース型装置を世界で初めて開発した。更なる普及を目指し、日々患者への臨床応用を進めている。
「仕掛け」で問題解決へと人をいざなう
ゴミ箱にバスケットボールのゴールがついていたら、
ゴミを投げ入れてみたくなる─。
「つい行動したくなる」ように仕向ける仕掛けを設置して、
効果を検証する仕掛学。松村真宏准教授が提唱する新しい研究分野だ。
「伝える力」持つ阪大生輩出へ 阪大独自のアカデミック・ライティング教育
アカデミック・ライティングとは、大学で求められる学術的な文章を書く技術のこと。近年、学生の文章力や伝える力の低下が問題になるなど、書く技術の教育が強く求められている。
そんな中、大阪大学では全学体制で「論理的な思考力」と「伝える力」を持つ学生の輩出を目指し、特に新入生に対するアカデミック・ライティング教育に力を入れている。
そこで、中心的役割を担う2人、全学教育推進機構の堀一成准教授と坂尻彰宏准教授に詳しく話を聞いた。

NL74号から教育・研究トピックス

世界中が注目 ノーベル賞受賞の「オートファジー」
胞がたんぱく質を分解し再利用する「オートファジー(自食作用)」。
2016年ノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典・東京工業大学栄誉教授と共にこの分野の第一人者と評される吉森保教授は、哺乳類のオートファジーの役割を明らかにし、さまざまな病気との関連を研究している。
大隅教授への思いやオートファジーの「これから」を語ってもらった。
ゲリラ豪雨の予測を可能に-高速・高分解能気象レーダを研究開発
2016年度大阪科学賞を受賞した牛尾知雄准教授。受賞理由は「フェーズドアレイ気象レーダの研究開発」。ゲリラ豪雨などの予測手法の研究開発などに活用しており、今は次世代型レーダの研究に取り組んでいる。
キャリア支援制度「学生に生涯を通じて活躍してほしい!」
大阪大学では学生が生涯を通じて活躍できるよう、キャリア支援に注力している。その中心的役割を担う組織が、キャンパスライフ支援センターのキャリア支援ユニットだ。同ユニットは、進路相談や就職イベント開催などで、学生の就活やキャリア形成をサポートしている。なかでも、進路の決まった先輩学生が後輩学生を支援する「大阪大学キャリアサポーター制度」は大きな広がりを見せている。この特徴ある制度を立ち上げた家島明彦講師にその目的や意義を、現役&OGキャリアサポーターの2人に、活動内容や自身の成長などについて聞いた。

NL73号から教育・研究トピックス

「新たな社会調査」で若者の心に迫る
吉川徹教授を代表とする研究グループは、2015年、メディアなどによる世論調査とは異なる特性を持つ大規模な学術社会調査・SSP調査(Stratification and Social Psychology/階層と社会意識全国調査)を実施。蓄積された過去のデータと比較することで、これからの日本社会を構成する若年層の「社会の心」の変容の兆しを明らかにした。
ものづくりの流れを学ぶ「実学主義」
大阪大学の高度副プログラム「実学主義」は、企業と大学が協働する実践型教育プログラム。大学院で学ぶ理論が、社会の現場でどのように活用され、そのために今後、何をどう追究していく必要があるのか、実践を通じ体感的に理解することが目的。受講生は、企業が派遣した講師による講義を受け、企業のリアルな“現場”を見学して各部署の担当者から直接話を聞いて学ぶ。今年度ものべ約50名の大学院生が受講している。

NL72号から教育・研究トピックス

世界最先端の研究をいち早く体感 阪大で科学の種を発芽「SEEDSプログラム」
大阪大学は昨年度、科学技術振興機構(JST)のグローバルサイエンスキャンパス事業に採択され、全学体制で「SEEDSプログラム」を開始。昨年度は、131名が受講した。科学技術に興味を持つ高校生等が大阪大学に集まり、互いに刺激し合いながら、世界最先端の研究活動を体感している。
泳ぐ細菌の「べん毛モーター」の謎にせまる
細菌の運動器官であるべん毛は、逆回転も可能なナノサイズの回転モーターが動かしている。生体内で最初に発見された自然の回転機構であり、ギアを切り替えるように回転方向を変え、栄養豊富な場所に移動したり、感染先を探り当てている。今田勝巳教授らのグループは、極めて高性能な「べん毛モーター」の基本的作動原理の解明や、部品の構造解析に取り組み、その成果は将来の感染症予防や新薬開発にも結びつくと期待されている。

NL71号から教育・研究トピックス

阪大での日本語・日本文化の学びを糧に日本、そして世界へ巣立つ
箕面キャンパスにある日本語日本文化教育センターは、阪大の留学生を対象として日本語・日本文化教育を実施するとともに、共同利用拠点として、教育リソース(資源)を他大学にも開放し、我が国の留学生受け入れの中心的な役割を担う。多彩な日本語科目および専門科目の授業を提供し、学外で実際に日本文化や伝統産業に触れる「学外実地研修」にも力を注いでいる。
「光るタンパク質」で医療やエネルギー問題に貢献 未来社会を大きく変革する
2008年ノーベル化学賞を受賞した下村脩博士らの蛍光タンパク質(GFP)で、一般にも広く知られるようになった「光るタンパク質」。iPS細胞の研究や、2014年ノーベル化学賞で注目された超解像顕微鏡の開発でも重要な役割を果たしている。産業科学研究所の永井健治教授らによる、光るタンパク質を使ったイメージング(可視化)技術の研究は、肉眼でも観察が可能な青緑(シアン)色やオレンジ色の超高光度発光タンパク質の開発に成功するなど飛躍的に進みつつある。
マイクロ波による革新的製造プロセスで世界のものづくりを変える
マイクロ波化学株式会社は大阪大学発のテクノロジー・ベンチャー。大手商社出身のビジネスマンと大阪大学の研究者が、世界のものづくりを変革しようと、2007年8月に設立。大阪大学工学研究科に「マイクロ波化学共同研究講座」を設置し、マイクロ波による「省エネ・高効率・コンパクト」な製造技術の実用化と産業化に挑戦。独自技術や実績などが評価され、大阪大学ベンチャーキャピタル株式会社(OUVC)の第1号投資先(2015年9月)となった。

NL70号から研究トピックス

「日の丸印抗がん剤」の 開発と実用化に執念を燃やす
大阪大学OBの中村祐輔教授は、現在、
シカゴ大学医学部内科・外科教授としてゲノム医療に取り組む。
学会への参加のため帰国した中村教授に、10月9日、
西尾章治郎総長から「Osaka University Global Alumni Fellow」の称号が授与された。
日米の医療や医学研究の現状などについて懇談したあと、インタビューに応じていただいた。
大阪大学の協働研究所から R&Dやビジネスモデルを変革したい
カネカ基盤技術協働研究所は、化学メーカーである株式会社カネカが、2011年7月、大阪大学の産学連携拠点であるテクノアライアンス棟に開設。有機ELや太陽電池、事業や競争力の源泉となる基盤技術の開発・拡充や活用、オープンイノベーションのさらなる推進をめざし、大阪大学のさまざまな部局と共同研究を進めている。大阪大学特任教授でもある福井祥文所長に話を聞いた。

NL69号から研究トピックス

「合成化学の革新」に挑む
医薬品、有機電子材料などの効率的な合成に欠かせないクロスカップリング反応は、現在では幅広い産業分野で必要不可欠な技術となっている。日本が得意とする技術分野であり、2010年に日本人2人を含む3人がこの領域でノーベル化学賞を受賞したことは周知のこと。三浦雅博特別教授のグループは、クロスカップリング反応のフロンティアを切り開く研究を推進。2012年には先端研究領域をリードする研究者に贈られるトムソン・ロイターの「リサーチフロントアワード」を受賞し、2014年に大阪大学特別教授となった。
大学キャンパスに企業を誘致 阪大のIndustry on Campus
植物バイオマスを活用し、人と環境に優しい機能性素材の研究開発から商品化まで取り組んでいる「Hitz(バイオ)協働研究所」。大阪大学の産学連携制度に基づき、2012年10月、日立造船株式会社が大阪大学内に設置。「Industry on Campus」のキャッチフレーズのもと、基礎研究から応用研究まで企業や大学の枠を超えて取り組んできた。他の国立大学にはないユニークな協働研究所を取材した。

NL68号から研究トピックス

「阪大免疫」強さの秘密 100年を超える 伝統と研究
「免疫の阪大」。世界の免疫研究者たちはそう評価する。では、阪大の免疫研究の層の厚さはどこから来るのか。なぜ、阪大は免疫研究が盛んなのか。阪大の原点である適塾にまでさかのぼる。
緒方洪庵は除痘館(のちの種痘所)を開いて天然痘の予防、さらにコレラなど感染症の克服に努めた。そして緒方洪庵の次男の緒方惟準が院長として適塾の門下生らが中心となり、明治2年に大阪仮病院が設立され、その後大阪医学校、大阪府立医科大学へと発展していく。その校長・学長を務めた佐多愛彦氏の貢献によるところが大きい。
免疫研究で多くの賞を受賞し、将来を期待される呼吸器・免疫アレルギー内科学教室の熊ノ郷淳教授に話を聞いた。
「見る」という脳機能の不思議に ドイツの研究グループとともに挑む
複雑で激しく変化する外界の3次元情報を、脳は何の問題もなく「見ている」。神経生理学が専門の藤田一郎教授の研究グループは、この脳の「見る」という機能の不思議を解き明かすため、2013年からドイツのユーリッヒ総合研究機構・神経科学医学研究所で理論脳科学を研究するソニヤ・グリュン教授(アーヘン工科大学教授)のグループと共同研究を進めている。研究は「大規模神経活動計測技術と計算論的手法の融合によるアクティブビジョンの神経機構の解明」だ。

NL67号から研究トピックス

日々生まれ変わる細胞の神秘 オートファジーの謎を追う
吉森保特別教授は、生物の細胞内で細胞自身がたんぱく質を分解する仕組み、オートファジー(自食作用)の研究で世界の最先端を走る。研究論文が年間数千本を数えるなど国際的に注目されるホットな研究分野だ。吉森教授の研究成果は多くの論文で引用され、生物学・生化学分野でトムソン・ロイターの「世界で最も影響力のある科学者(2014年)」に選ばれ、2014年に大阪大学特別教授の称号を受けた。
原子レベルで 測る・見る・作るに挑む
ロシア出身のファエノフ・アナトリー教授は、X線光学の分野における世界的権威。独自のアイデアで開発した高性能のX線分光装置と分光法は、X線によるイメージング(可視化)などに必要不可欠な装置として世界的に普及している。ファエノフ教授はネイチャー系の研究誌に数多くの論文を発表し、米国のネバダ大学リノ校や日本原子力研究開発機構をはじめ、世界トップレベルの研究機関と連携して業績をあげてきた。大阪大学には光科学研究を行う100以上の研究室があり、世界的研究拠点となるべく未来戦略機構に光量子科学研究部門を立ち上げている。グローバル化を進める大阪大学での研究を聞いた。
大阪大学に集まり、世界に広がる アジア太平洋研究のグローバルハブへの挑戦
「大阪大学をアジア太平洋研究のグローバルハブにしたい」。杉田米行教授は、世界各地で活躍するアジア太平洋研究の専門家を集め、新たな知見を世界中に発信するための環境を大阪大学に作りたいと語る。その取り組みの一環として、杉田教授が代表を務める国際共同研究促進プログラム「アジア太平洋地域の平和と安定:国際行動規範形成のための重層的分析」が2014年にスタート。政治学、経済学、歴史学、などの社会科学に加え、医療分野などの専門家も参加して、融合的な研究活動が展開されている。

NL66号から研究トピックス

生命現象の 根本に化学があるー高分子化学研究で世界的な業績
原田明特別教授は「高分子化学に関する研究」で多くの世界的業績を残してきた。研究テーマは、高分子の分子認識による超分子構造の構築や、生体高分子の機能化、新規高分子の合成。大阪大学の教授だった父・篤也さんの「阪大は世界一の大学だ」という勧めで、大阪大学理学部に入学。以来、研究の面白さに触れ研究者に。生体内で起きている分子間の反応に興味を抱いたことから高分子や超分子の研究に取り組み始め、合成化合物を使用して、簡単な高分子にも生体で見られるような厳密な分子認識が起きることを世界で初めて見いだした。分子認識というミクロの世界を「センサー」や「接着」といったマクロの世界(リアルワールド)で活用することにも成功し、注目を集めている。
高齢者の健やかで幸せな老後のためにー認知科学や老年社会学で多面的アプローチ
「年をとっても健やかな心で幸せに生きたい」とは誰もが願うことだろう。認知神経心理学が専門の苧阪満里子教授は、人の認知の基盤をなす記憶システムであるワーキングメモリの研究を通して、高齢者の記憶、認知機能の変化に着目する。今年度、苧阪教授が代表を務める国際共同研究促進プログラム「超高齢期高齢者のサクセスフルエイジングを支援する介護福祉サービスの開発に向けた認知脳科学的・老年社会学的研究」がスタート。脳科学をはじめ福祉政策、介護社会学など、海外の研究者と大阪大学の異分野間の連携に期待が寄せられる。
トガって、走って、未知の世界へーCO2抑制から活用へ、革新的技術を創り出す
「二酸化炭素から基礎化学品を作る革新的グリーン技術の開発」と題する研究が、本年度の「未来知創造プログラム」の一つに採択されている。これは、画期的な触媒システムの開発を通じて、社会のさまざまな分野で求められている化学材料を二酸化炭素から効率よく作り出そうという試みだ。従来、抑制の対象とされてきた二酸化炭素を有用な炭素資源として積極活用するという、画期的な技術の確立をめざすものである。挑戦するのは、機能開発、材料開発、理論計算をそれぞれ専門とする若手研究者3人。触媒の未来形を作り出そうとする彼らの意気込みを聞いた。

NL65号から研究トピックス

生体ナノマシンの構造に迫る
難波啓一特別教授の専門は、生物物理学・構造生物学、プロトニックナノマシンの研究だ。生体の中では生命を維持する様々な機構が働いている。大腸菌などのバクテリアは、細胞の一部にべん毛という小器官をもっている。生体内のモーターのようなつくりで、べん毛を回転させて動き回る。直径数10nm(ナノメートル)の生体内のモーターは、プロトン(水素イオンH+)の流れを受けて、非常に高いエネルギー効率で動作する。このような解析不可能と考えられていた生体超分子の立体構造と機能を世界に先駆けて原子レベルで明らかにした。
世界的な理論研究者との強力タッグで究極のナノデバイスを可能にする
杉本宜昭准教授の研究は、走査型プローブ顕微鏡(SPM)。これを武器にナノ構造化学、薄膜・表面界面物性に迫る。SPMの一種である原子間力顕微鏡(AFM)の開発に力点を置く。AFMを使って物質表面の原子がどこにどのように配置しているのかを見極めることが、可能になった。この研究で、2009年アジア人として初めての米国Foresight Institute Feynman Prizeを受賞。平成25年度の国際共同研究促進プログラムにも採択され、理論と実験の両輪でさらに研究を推し進める。
障害のある子と親のQOLを高めたい
大阪大学は今年度、新たな研究の種を生み出すべく、学内の異なる分野の若手研究者3名で行う共同研究を支援する「未来知創造プログラム」を開始した。そのうちの一つが、今回紹介する「歯科医療現場における障害のある子どもとその親への包括的支援プログラムの開発」だ。障害者歯科学、臨床哲学、臨床心理学という文理3領域からのアプローチにより、障害のある患者とその親への理解を深め、両者のQOLを高めるサポートにつなげたいという歯学部附属病院・村上旬平助教らに取り組みを聞いた。

NL64号から研究トピックス

世界各国の知性を結集し 経済理論の充実を
昨年度の「大阪大学国際共同研究促進プログラム」に採択された「最先端経済理論研究と制度設計への応用」が、順調なスタートを切っている。代表者の芹澤成弘教授(社会経済研究所)に、プログラムの内容や効果について聞いた。
疑うがゆえに知り 知るがゆえに疑う
研究室に一歩入ると、いろいろな国籍の留学生やポストドクターが至る所でディスカッションしている様子が目に飛び込んでくる。そこは、まさにグローバルな空間だ。世界の材料科学研究は凄まじいスピードで競争が進んでいる。平成26年度の大阪大学国際共同研究促進プログラムにも採択された。工学研究科の関修平教授に、グローバルに展開する研究の最先端を聞いた。
大阪大学特別教授ー研究の醍醐味は 分からぬことへの挑戦
濱田博司教授の専門は、哺乳動物胚発生の遺伝子支配。動物の体の左右は、外見上大まかには対称的に見えるが、心臓は左に、肝臓は右にあるなど、構造に大きな違いもある。左右の非対称性がどこから生じるのかという「左右非対称性の決定機構」を長年探究してきた。これらの業績により平成26年春の紫綬褒章を受章した。「でも実際に研究を進めたのは学生や同僚なので、大部分は彼・彼女らのクレジットです」と謙遜する言葉にも温厚な人柄がうかがえる。野球好きで熱烈なタイガース・ファンとして学生たちに知られ、研究室には贈られたトラグッズが飾られている。岡山大学医学部生時代には、野球部に所属していた(下手だったので補欠でした:本人談)。

NL63号から研究トピックス

肺がん・胸腺腫 幅広く治療・研究 心肺同時移植にも貢献
昨年12月23日、国内で2例目となる心肺同時移植が大阪大学医学部附属病院で行われた。
澤芳樹教授が率いる心臓血管外科と奥村明之進教授が率いる呼吸器外科の胸部外科チームにより、心臓・肺の取り出しと移植手術が成功。
単独臓器の移植とは異なる心肺同時移植の難しさや、手術を成功に導いた要因、そして奥村教授らが取り組む肺がんや胸腺腫、胸腺がん、重症筋無力症などに関する阪大病院の先端治療・研究などについて語ってもらった。
がんを克服するための 新しい選択肢を 切り開く
現在、日本人の死因トップは「がん」。その7割は消化器がんだと言われているが、その治療法は年々進化している。今回は、消化器がんの専門家であり、臨床と研究、教育の3分野で幅広く活動する森正樹教授に、がん治療の最前線について聞いた。
ナノの世界を この目で見たい!
「愛校心の深さには自信があるよ」と笑顔で語る河田聡教授は、祖父から3代続く阪大ファミリー。ナノの世界を光で計測・制御するサイエンスとエンジニアリングの研究を続け、ナノフォトニクスやプラズモニクスなど光科学研究の第一人者。これまでの業績により、2013年の「大阪大学特別教授」に選ばれた。光科学の最先端研究や、大学発ベンチャーなど、阪大一筋の教授に熱い思いを語っていただいた。
再生医療・移植医療などで 世界に貢献
2012年8月、医学部附属病院に未来医療開発部が発足した。中核となる3つのセンターは、先進医療の開発や高度治療を行う一方で、医療の国際化を積極的に進めている。大阪大学がGlobal University「世界適塾」元年と位置づける2014年4月には、新たに最先端医療イノベーションセンター棟がオープンし、未来医療開発部の新しい拠点となる。医療を通して世界に貢献する方向性、将来展望など阪大病院の近未来医療について鼎談を行った。

NL62号から研究トピックス:特集テーマ「つたえる」

制御性T細胞は 何をつたえているのか
大阪大学免疫学フロンティア研究センターの坂口志文教授は、生体内に侵入した細菌などの異物を排除する免疫反応の手綱を引く「制御性T細胞」というリンパ球を発見し、その機能を明らかにした。制御性T細胞の量的・機能的異常が自己免疫病やアレルギーなどの原因となることも証明した。その業績で、2012年に日本学士院賞を受賞。2013年に「大阪大学特別教授」の称号を授与された。免疫疾患の治療・予防だけでなく、さまざまな免疫応答を制御することに新しい道を開く研究の最前線の話を聞いた。
消えないメモリ動作の謎を解明
現在、世界中で高密度の不揮発性メモリ開発をめざした熾烈な競争が繰り広げられている。柳田剛准教授は、その最も有望な素子とされながらも制御が困難だった抵抗変化不揮発性メモリ(ReRAM、メモリスタ)の本質的な動作原理の謎を解明した。これにより、さらに信頼性の高いデバイス設計が可能となり、極微な超低消費電力型の不揮発性メモリ素子を活用した省エネ科学技術・グリーンナノテクノロジーへの波及効果が期待される。
環境浄化の重要性をつたえる
日本には世界トップレベルの環境技術が数多く集積し、人々の暮らしや健康に大きな影響を与える水質浄化や土壌浄化などに関する研究も着々と進められている。しかし環境保全・浄化に関する公共政策や企業戦略の推進には、さまざまなステークホルダー間の合意形成と大規模な予算編成が必要。市民や産業界の正しい理解や世論の後押しが不可欠だ。多様な環境技術の開発に取り組む池道彦教授は、研究のかたわら、国などが主宰する環境関連の委員会の委員を数多く務め、環境浄化の重要性を社会に広く伝え続けている。
今アフリカで 起きていることが、 なぜ世界につたわらないのか
世界中で今もさまざまな紛争が起きているが、それらについてのメディアの取り上げ方は一様ではない。なかでも、コンゴ民主共和国(Democratic Republic of the Congo)での紛争は、累計500万人が犠牲になっているのに、多くの日本人はそういった現実を知らない。なぜこういうことが起きるのか。情報社会といわれる現代において、ニュースとして伝えられない紛争に強い関心を寄せる国際公共政策研究科(OSIPP)のヴァージル・ホーキンス准教授に話を聞いた。

NL60号から研究トピックス:特集テーマ「すける すきとおる」

透明なものを可視化する「対話の場」をデザイン
原子力、再生医療などの専門的な科学議論に、市民も参加できるよう「対話の場をデザインする」研究をすすめる八木絵香准教授。その功績で、科学技術政策研究所から2011年の「ナイスステップな研究者」に選定。「目に見えない『透明な』ものに焦点を当てた」コミュニケーションの技法の研究を進めながら、阪大生たちにも「せっかく恵まれた総合大学にいるのだから、異分野の学生たちと議論、対話を深めることで、自身の専門性をより高めてほしい」と指導している。
異分野から発想した結晶技術で、 次世代イノベーションに貢献
森勇介教授は、レーザーに使う無機物から新薬開発に必要なタンパク質まで、多様な分野におよぶ結晶化の研究を進めている。これまでに、半導体の加工・検査などに役立つ紫外レーザー光を発生させる波長変換結晶の開発や、その結晶化技術を転用した高品質なタンパク質の結晶化に成功。現在は、新たな半導体材料として優れた素質を持つガリウムナイトライドの結晶化と、その実用化に取り組んでいる。
からだの中をMRIで透かす
現在、多くの病院にはMRI(磁気共鳴画像化装置)が設置されて、近年では超高磁場MRIによって、分子、細胞レベルから個体レベルに及ぶ豊富な情報を、さまざまな角度から得られるようになった。吹田キャンパス内の免疫学フロンティア研究センター(IFReC)や脳情報通信融合研究センター(CiNet)では現在、最新鋭のMRIが活躍中。からだの中で起きていることを、かつてない精度で「透かして見る」ことができるようになった。MRIのメカニズムや研究の動向など、吉岡芳親特任教授に伺った。
「透明人間」を切り口に テクノロジーと物語の 緊張関係を追いかける
「透明人間」の物語は、古代ギリシャに由来する秩序破壊の物語と、近代化が引き起こした疎外の物語の二つの系譜が確認できる。
世界で語り継がれていくうちに、両者はどう変容していったのか。
英国地域研究、比較文学の専門家である橋本順光准教授が、
「科学技術を先取りする人間の想像力」に焦点を当てて
「透明人間」を読み解いた。

NL61号から研究トピックス:特集テーマ「かえる・かわる」

アンドロイドと ひとの心がすりかわる 瞬間
「ロボット学」と名づけた新しい研究分野を創設し、世界に先駆けて、人と関わるロボットや人間酷似型ロボット(アンドロイド)の研究開発に取り組んでいる石黒浩教授。その卓越した業績や先導的役割は、2007年に英国のコンサルティング会社の「生きている天才100人」調査で日本人最高位の26位に選出されたことからもわかる。また、それらの業績から、今年度創設した「大阪大学特別教授」10名のひとりでもある。人間理解を最終目的に掲げ、認知科学・脳科学・芸術・哲学を融合させた最先端ロボットを研究する経緯と今後について聞いた。
よりよく生きる 全人的な統合医療
生体機能補完医学寄附講座の伊藤壽記教授は、
現在の医療活動にかわる予防医療・補完医療・代替医療を促進している。
最近では補完代替医療[Complementary and Alternative Medicine : CAM]に
とどまらず近代西洋医学にCAMを有機的に融合させ全人的にアプローチする、
エビデンスに基づく統合医療[evidence-based Integrative Medicine : eBIM]の
推進と、その基盤作りに向けた研究に力を注いでいる。
現状や将来像を語ってもらった。
金融は、今日の消費と 将来の消費の 交換について考える学問
私たちは日常生活の中で預金をしたり、時には株式を購入したり、住宅ローンを利用するなどの形でお金の貸し借りをしている。だが「金融」「ファイナンス」という言葉には、何か特別な、専門家でなければ近づけない領域といったニュアンスを感じる。佐井りさ講師に、そもそも金融とはなにか、金融研究の最前線について話を聞いた。

NL58号から研究トピックス:特集テーマ「みすえる」

iPS細胞から分化誘導した肝細胞を世界で初めて実用化 信頼性の高い「毒性評価系」の構築をみすえて
今、世界から注目されているiPS細胞は、再生医療だけでなく、「創薬分野」での応用にも期待が高まっている。分子生物学を専門とする水口裕之教授は、創薬プロセスにおける毒性試験で使用される肝臓細胞(以下肝細胞)を、ヒトiPS細胞から分化誘導し、実用化に成功。その業績により第10回産学官連携功労者表彰・厚生労働大臣賞と、第4回ドイツ・イノベーション・アワード「ゴットフリード・ワグネル賞2012」奨励賞を受賞した。
遺伝子という絵の具で 網膜の発生経路を明らかに 「生命の森の中、葉っぱの一枚一枚を描く」
古川貴久教授は、一貫して網膜の発生と機能の研究を続けてきた。
視細胞がいかにして生まれ、分化し、成熟して機能を発揮するのかというメカニズムの主要部分を分子レベルで解明し、今年度の第30回大阪科学賞を受賞した。
緻密な研究に没頭するとともに、「研究者にはロマンを持ってほしい」と若手に熱く語りかける。
また医師としての自覚も持ちながら、病気との関わりを常に模索して原因遺伝子の発見に努めるとともに、全国各地の市民講演で患者たちに「研究、医療は日進月歩しています。希望を失わないでください」と訴える。
先端的な取り組みからコンピュータ社会のこれからをみすえる
今や「当たり前」の存在となったコンピュータ。
大阪大学サーバーメディアセンターでは、スーパーコンピュータ(スパコン)の管理・運営から、バーチャルリアリティ(VR)研究などに力をいれる。
センター長の中野博隆教授と清川清准教授に、スパコンの可能性と、VR研究の最先端研究について話を聞いた。
歯周病から全身の疾患をみすえる
世界で最も蔓延している病気としてギネスブックにも認定されている歯周病。21世紀に入ってその研究が加速すると、脳血管疾患、心血管疾患、がん、骨粗鬆症、慢性関節リウマチなどの原因になっていることが分かってきた。天野敦雄教授は、歯周病菌の検査によって自分の体の状態を把握し、将来の歯周病の進行をみすえ、それが生活習慣病の発病につながらない処置を施すよう指導。その危険性と予防対策を広く呼びかけている。

NL57号から研究トピックス:特集テーマ「よみとく」

遺伝情報を速く、確実に読み解く ナノテクノロジーの最新技術
21世紀初頭、人類はついにヒトDNAの全遺伝情報の解読に成功した。以来、日米欧を中心とする研究機関、医療系・情報系企業は、より速く確実に、適切な費用での解読技術の実現に向けて激しい競争を展開している。そんな中、産業科学研究所の川合知二特任教授の研究グループは、「もっとも実現可能性の高い」と評されるゲーティングナノポア・シーケンシング技術を使ったDNA、RNAの遺伝情報解析技術の実現に世界で初めて成功した。
ひとの脳波を読み解き ロボットアームが動き出す—脳卒中、ALSなどに実用化の道
長期の運動まひがある人の脳の表面に置いたシート状の電極で計測した脳波を解読し、腕状のロボットなどをリアルタイムで動かすことに、平田雅之特任准教授(脳神経外科)、栁澤琢史助教(脳神経外科)などのグループが成功。体内埋込装置や脳磁図(MEG)で動かせる装置での研究も着実に進んでいる。将来的には、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者などの日常生活支援に役立つことが期待される。
光の量子的性質を利用して 解読されない暗号を創る—長距離通信めざし、波長変換技術を完成
井元信之教授が取り組んでいるテーマは「量子情報処理」。この分野では、既存のコンピュータをはるかにしのぐ情報処理能力を持った量子コンピュータの実用化がとりざたされているが、より早い実現が期待されているのが「プライバシー面で絶対に安全な『量子暗号通信』」だ。井元教授らのグループは、それを実用可能にする長距離通信をめざし、量子情報を量子メモリーと通信回線の間で自由にリンクさせるための波長変換技術と量子雑音除去技術を完成させ、世界から注目されている。
すぐにもらえる小さい報酬か 将来にもらえる大きい報酬か—神経経済学で「人間の行動」を読み解く
「すぐに食べられるハンバーガーか、行列のできる店で長時間待ってごちそうを食べるか、あなたはどちらを選びますか」 そんな人間の欲を、経済学・脳科学・心理学などを合体させた「神経経済学」の視点から解析・研究している。実際の人間の経済行動をよりよく説明できるような新しい経済モデルを作ろうとする新しい分野である。

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