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津賀一宏さん(パナソニック株式会社 代表取締役社長)

改革の先頭に立つ

2012年6月、パナソニック株式会社の8代目社長に就任した。大阪大学出身者では、6代目の中村邦夫氏(現相談役)に次いで2人目。就任後は積極的に企業改革に取り組み、看板のプラズマテレビ事業からの撤退など、大きな決断を下してきた。家電中心からの脱却、自動車・住宅設備事業の強化などで、リーマンショック後の景気後退の影響から抜け出せず、赤字が続いていた業績を見事に黒字転換。昨年度の当期利益は1200億円で、前年度より8700億円も改善した。津賀さんの決断力は、経済界でも高く評価されており、昨年はいったん生産を終えていた高級音響機器ブランド「Technics」も復活するなど、思い切ったブランド戦略が話題となった。

1979年に基礎工学部を卒業後、同社に入社。主に研究・技術畑を歩み、トップに立った。しかし、〝技術系社長〟ゆえに「自分が出来ることは限られている」と自覚する。

「出来る事」と「出来ない事」を割り切り、「出来る事を真剣に考える」。自分が知らないところは、分かる人間に任せるなど、人の意見には謙虚に耳を傾ける。もちろん、リーダーとして重要な判断は自ら行う。部下たちの意見が分かれた時にも、まず津賀さんは、なぜそう判断するのかを明確に示した上で、最後に自らの考えで決断する。スピーディーに決断しないと、部下も経営者も疲弊する。それが、津賀さんの仕事スタイルだ。

おおらかな学生時代過ごす

大阪府立茨木高校時代から数学や物理が得意。理系科目はあいまいさがなく、魅力を感じた。成績優秀だった友人が志望していた基礎工学部に、工学的アプローチで生命について調べる生物工学科というユニークな学科があると知り、「私も」と受験したという。

大学ではコンピューター制御を専攻。卒業論文は最初、自分で設計したコンピューターのアーキテクチャー(構造)をテーマにしたが、指導教員から「学問としての客観性がない」と言われ、テーマを「音声認識」に変更。このことがパナソニック入社後の方向性に大きな影響を与えることになる。ちなみに、この卒論は、後輩社員がおもちゃ用の音声認識として実用化したという。

津賀さんの大学時代、生物工学科は1学年40人。同じメンバーで4年間を過ごすため、ことのほか仲が良かった。学問だけでなく、合コンや麻雀も楽しんだ。「私自身は熱心に勉強したわけでなく、おおらかな学生時代を過ごしました。でも基礎工学部という新しい学問分野に身を置けて幸せだった」と振り返る。

企業にとって研究開発とは

パナソニックを選んだのは、学生時代に結婚が決まっていたため、「大阪の会社に入りたかったから」という意外な理由だ。新入社員研修後は無線研究所に配属。研究所では卒論のテーマとも関係のある「音声合成」を担当した。

27歳の時、社内留学で米国へ留学。カリフォルニア大学サンタバーバラ校の音声研究所で修士号を取得し、その後、社内ではマルチメディア、ネットワークを長く担当した。

長年、企業内で研究開発に取り組んできたが、企業と大学の違いについて「大学では新たなものを発見する研究が中心だが、企業では研究だけでなく、開発、設計と段階を進め、最終的に商品化できるものでないといけない」という。ただ「大学も企業も、挑戦しないと発展しない」が持論だ。

衆知を集め、未来を創造

 「素直な心で衆知を集めて未知なる未来を創造する」。津賀さんの座右の銘だ。パナソニックの創業者、松下幸之助氏の経営哲学に自分自身の考えを加味して作った言葉だ。

「素直な心」は人が成長、会社が発展するための必要条件。「衆知を集める」は、一人ひとりが個々の役割を明確にして、一緒に取り組んでいくという意味で、松下幸之助が説く、パナソニックの経営理念。続く「未知なる未来を創造する」は津賀さんの考え。自らが進もうとしている「未来」は明確には見えない。しかし、そこへ果敢に挑戦していくことが、何かを成し遂げることにつながると信じている。それは企業も大学も同じ。

「未知なる未来に挑戦するのはおもしろい」と笑顔で話す津賀さんは、「未知なる未来」こそ前進するための原動力だと考えている。だから後輩の阪大生たちにも「大学で学ぶ内容は完成形ではない、未知なる未来への準備のためと考えてほしい」と期待を込めて語りかける。

 

●津賀一宏(つが かずひろ)氏
1979年大阪大学基礎工学部卒業、同年松下電器産業(現パナソニック)入社。マルチメディア開発センター所長、AVCモバイル・サーバー開発センター所長などを経て、2004年同社役員。08年常務役員・社内分社「オートモーティブシステムズ社」社長、11年代表取締役専務・社内分社「AVCネットワークス社」社長、12年6月から現職。

 

企業情報

パナソニック株式会社(大阪府門真市)
故松下幸之助氏が1918(大正7)年に創業。家庭用電子機器、電化製品、FA機器、情報通信機器および住宅関連機器に至るまでの生産、販売、サービスを行う総合エレクトロニクスメーカー。連結売上高7兆7365億円(2014年3月期)、従業員数(連結)271,789人(2014年3月31日現在)。阪大卒業生は2000人以上。

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