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ポール・ド・マン中期のロマン主義文学批評 ―修辞学的転回(レトリカル・ターン)からディコンストラクションへ

2016年1月19日 (火) 16:20 から 17:50

ディコンストラクション(脱構築)という、1970~80年代米国の英米文学・文学理論研究に多大な影響を与えた批評の中心的人物、ポール・ド・マンの思想に焦点を当て、ディコンストラクション的な思想の萌芽がみられる論考「時間性の修辞学」(1969年)を中心に紹介し、その意義を考えます。

 

この講演ではディコンストラクション(脱構築)という、1970~80年代米国の英米文学・文学理論研究に多大な影響を与えた批評の中心的人物であったポール・ド・マンの思想に焦点を当て、なかでもディコンストラクション的な思想の萌芽がみられる論考「時間性の修辞学」(1969年)を中心に紹介します。

ド・マンが登場する以前、詩の批評―とりわけニュー・クリティシズム(新批評)―において、言語の曖昧性はその詩の有機的統一や豊かさの顕現であるとみなされていました。こうした傾向を批判的に受容したド・マンは、「時間性の修辞学」のなかで18世紀後半から始まるロマン主義文学の諸テクストをシンボル、アレゴリー、そしてアイロニーなど修辞学(とりわけ転義trope)的な側面から論じることで、ロマン主義における形而上学的な起源や有機的統一を求めようとする誘惑とその断念という問題を提示しました。全体性への憧れと断念のダイナミズムは、のちに文学のみならずあらゆる言語表象をめぐる読むことの(不)可能性の問題へと敷衍されて晩年の「美学イデオロギー」批判へと至るという点で、ド・マンのディコンストラクションを考えるうえで避けられない問題といえます。

以上の内容を概観しながら、時間が許せばこうした論点が現在わたしたちの生きる社会とどのように関わるかについても考えてみたいと思います。

 

参考文献

Paul de Man ‘The Rhetoric of Temporality’, Blindness and Insight: Essays in the Rhetoric of Contemporary Criticism, 2nd ed., U of Minnesota P, 1983, pp. 187-228.

ポール・ド・マン『美学イデオロギー』平凡社、2014年。

木谷厳編『文学理論をひらく』北樹出版、2014年、第5、8章。

日時: 2016年1月19日 (火) 16:20 から 17:50
場所: 言語文化研究科A棟2階大会議室
参加登録: 不要
連絡先: 小口一郎
ikoguchi@lang.osaka-u.ac.jp

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