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抱き枕型通信メディア「ハグビー®」によるストレス軽減

2013年10月23日(水)

リリース概要

株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)と大阪大学、独立行政法人科学技術振興機構は、抱き枕型の通信メデイア「ハグビー®」を抱きながら通話するとストレスを軽減する効果があることを体内のホルモンの変化から明らかにしました。

この結果や研究において使われたホルモンによる製品評価の方法は、既存の通信メディアの評価や人にやさしい通信メディアの開発に役立つと考えられます。そのため、NTTデータ経営研究所が事務局を務める応用脳科学コンソーシアム内に「コンフォータブルブレイン研究会」を同社と共同で新たに発足し、複数の企業とホルモン検査の可能性について調査を開始しました。この取り組みはホルモン検査による製品評価の恒常的なサービス体制の構築を目指しています。

研究の背景

ハグ(抱擁)のような直接的な接触はストレスの軽減や関係の維持など我々の健康にとって良い効果があることが明らかになってきています。我々はこれまで、人のように感じられる「テレノイド® R1」(2010年8月報道発表)において、ロボットを抱きかかえながら対話する場合にも人の存在を強く感じ、人との接触に見られるような効果が起こる可能性を確認しました。さらに、直接的な接触に注目し、人の存在を感じる最低限のデザインとして、人の形をしたクッションのような存在感メディア「ハグビー®」(2012年4月報道発表)を開発しました。

しかしながら、これまで触覚情報に注目したメディアとの接触体験が我々にどのような効果を及ぼすのかはアンケートなどの質問紙でのみ調査されており、生理的な効果については確認されていませんでした。例えば、人が人とハグや他の接触行動をしたときのストレス軽減の効果は、ストレスを受けると分泌量が増加する「コルチゾール」というホルモンや心拍数の減少によって確認されています。同様の効果を人工的に作られたメディアが与えられるかどうか確認することは、新しい通信メディアの開発や既存の通信メディアの評価に極めて重要だと考えられます。

本研究では、通話中にハグビーを抱きしめるだけでストレス軽減効果があることを明らかにしました。実験では被験者を、ハグビーを抱きながら話をするグループと携帯電話で話をするグループに分け、会話前後での血液中、唾液中のコルチゾール濃度の変化を調べました。その結果、ハグビーを抱きながら会話をしたグループでは血液中、唾液中ともに有意にコルチゾールが減少し、人との接触で見られるようなストレス軽減効果がハグビーのような人工的なメディアとの接触にもあることが分かりました。

本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)

現在我々が使っている通信メディアのデザインに新たな示唆を与えます。例えば、遠隔カウンセリングなどストレス軽減を目的とした通話においてはハグビーのような抱くことのできる通信メディアが有効であることを示しています。また生理反応から製品の効果を評価することは我々の生活で使用される多くの製品の評価に適用でき、我々の健康をより効果的に支援する製品開発につながると考えられます。

今後はデンマークで行われている高齢者や認知症患者に対するテレノイドやハグビーの効果検証にもホルモン検査を導入し、異なる文化圏でも同様の効果があることを確認する予定です。

特記事項

本研究成果は2013年10月23日(水)(英国時間)にNature Publishing Groupから発行されるオンライン科学雑誌Scientific Reportsで公開されました。

参考URL

大阪大学大学院基礎工学研究科 システム創成専攻 知能ロボット学研究室
http://www.irl.sys.es.osaka-u.ac.jp/

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