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金属―分子相互作用で物体の着脱に成功―人工系で天然のヘムタンパク質類似の機能の発現に期待―

2013年2月7日(木)

リリース概要

大阪大学大学院理学研究科・基礎理学プロジェクト研究センター長 原田明教授らは、アミノ酸と金属錯体※1をそれぞれ導入した高分子材料が「配位結合※2」を介して、センチメートルを超える大きさに集積できることを発見しました。

高分子材料にアミノ酸(ヒスチジン)と金属錯体(鉄ポルフィリン(ヘム))をそれぞれ導入すると、これらの高分子材料が自己集積されました(図1a→b)。また、この集積体にヒスチジンの水溶液を添加すると材料が離れ(図1b→c)、洗浄すると再び集積することがわかりました(図1c→d)。

私たちは、この分子レベルで起こっている配位結合を利用して、私たちの目で直接見ることのできる大きさの物体を接着させたり、ときには離したりできる可逆的なシステムを実現させることに世界で初めて成功しました。

本研究成果はJST戦略的創造推進事業(CREST)の一環として行いました。 なお、本研究成果は2013年2月7日(木)(英国時間)に英国科学雑誌「Scientific Reports」のオンライン版で公開されます。

 

研究の背景

まず私たちは、ヘモグロビンやペルオキシダーゼなど、生体内で酸素運搬体や酵素として重要な役割を果たしているタンパク質と金属錯体との複合体において、活性中心※3となる金属錯体が「アミノ酸と金属との結合」を介してタンパク質に結合し、その結合の強さを調整することでこれらの機能を発現することに注目しました。人の手で扱える大きさの「アミノ酸と金属との結合」の集積体を得ることで、これらタンパク質の機能を我々の手で発現することが出来ると考えました。

 

本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)

本研究の成果である、可逆的に材料を着脱できるこのシステムを用いれば、今後人工系で天然のヘムタンパク質※4類似の機能を発現させることや、人の手で付けたり離したりして触媒活性※5をコントロールできるシステムを創成することができるのではないかと期待されます。

 

参考図

図1 y鉄ポルフィリンゲル(茶色)とL-ヒスチジンゲル(赤色染色)が緩衝液中、振動するだけで接着 (a→b).鉄ポルフィリンゲルとL-ヒスチジンゲルの自己集積体にL-Hisの水溶液を加え振動するとゲルが解離(b→c).解離したゲルを洗浄すると再び接着(c→d).

 

用語解説

※1 金属錯体
金属錯体とは、分子の中心に金属、金属イオンが存在し、それを取り囲むように分子やイオンが結合したもの

※2 配位結合
通常は結合する原子同士が1個ずつの電子を提供し、計2つの電子(電子対)を持って結合を形成する。しかし、配位結合では一方の原子が2つの電子を提供し、もう1つの原子と結合を形成する。

※3 活性中心
反応させたい分子を取り込み、反応を引き起こす場所

※4 ヘムタンパク質
ヘム(鉄ポルフィリン)とタンパク質が結合したもの

※5 触媒活性
ある特定の化学反応の反応速度を速める機能が高いこと

 

参考URL

http://www.nature.com/srep/2013/130207/srep01243/full/srep01243.html

http://www.chem.sci.osaka-u.ac.jp/lab/harada/

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