国立大学法人大阪大学公式ウェブサイトです。地域に生き世界にのびる 大阪大学

最新情報

次々世代DNAシークエンサーの動作原理を実証―個別化医療への応用に期待!―

2012年7月11日(水)

<リリース概要>

 大阪大学最先端研究開発支援プログラムの川合知二特任教授と大阪大学産業科学研究所バイオナノテクノロジー研究分野の谷口正輝教授の共同研究グループは、世界に先駆け、次々世代DNAシークエンサー※1の動作原理を実証しました。この成果は、個別化医療や安全な再生医療を実現する大きな一歩になると期待されます。

 次々世代DNAシークエンサーは、DNAとRNAの塩基配列を、1分子を流れる電流の違いで識別する原理を持ちます。世界の主要大学や大手企業が激しい開発競争を繰り広げていますが、次々世代DNAシークエンサーの動作原理が実証されていませんでした。

 共同研究グループは、半導体技術を駆使して、1個の塩基分子※2の大きさに対応する約1ナノメートルの電極間距離を持つナノギャップ電極を作製しました。このナノギャップ電極を用いて、1個の塩基分子を流れる電流により、短いDNAとRNAの塩基配列の決定に成功しました。

20120711_1_fig1.png

図1 DNAとRNAの1分子塩基配列決定の原理図。
1塩基分子を流れる電流の違いにより、塩基の種類を決定する。

 

<研究の背景>

 個別化医療の実現に向けて、1日と1000ドルで、ヒトゲノムを解読する次々世代DNAシークエンサーの開発競争が世界中で激化しています。高速で安価なゲノムシークエンサーの応用分野は、医療、創薬はもちろんのこと、ウイルス・アレルゲン検査から農業・畜産現場へと広がると期待されています。しかし、これまで次々世代DNAシークエンサーの動作原理が実証されることはありませんでした。

 

<本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)>

 1分子シークエンス技術は、光計測から電流計測へ、多分子計測から1分子計測へと、従来のDNAシークエンサー技術に2つのパラダイムシフトをもたらします。この開発した1分子解析技術は、次々世代DNAシークエンス技術の基礎研究を応用化・実用化研究へと展開する最も重要な概念実証であり、今後の研究開発を飛躍的に推し進めると期待されます。

 

<特記事項>

 研究成果は、2012年7月10日(英国時間、日本時間:7月10日)にネイチャー・パブリッシング・グループ(NPG)「Scientific Reports」のオンライン速報版で公開されます。

 本研究は、日本学術振興会の最先端研究開発支援プログラムにより、助成を受けたものです。

 

<用語解説>

※1 シークエンサー
DNAやRNAを作る塩基分子の配列を決定する遺伝子解析装置。

※2 塩基分子
DNAを作るアデニン、シトシン、グアニン、チミン分子と、RNAを作るアデニン、シトシン、グアニン、ウラシル分子。

 

<参考URL>

http://www-kawai.sanken.osaka-u.ac.jp/

このページのトップへ